2019年10月、大型で非常に強い台風19号が日本に襲来した。列島の広域に大雨、暴風などをもたらし、国民生活、経済活動に大きな影響を及ぼした。

2019年台風19号
目次
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武蔵小杉のタワマン浸水被害が契機、電気設備の浸水対策ガイドライン作成へ
国土交通省と経済産業省は、建築物に設けた電気設備の浸水対策に関するガイドラインを作成する。台風19号による大雨でタワーマンションの地下の電気設備が浸水し、停電や断水が発生したことを受けて、対策の在り方や具体的な事例を整理する。
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庁舎が浸水した茨城県大子町、実施設計まで進んだ新庁舎の計画見直しへ
台風19号の影響で庁舎が浸水した茨城県大子(だいご)町は、2020年2月に着工予定だった新庁舎建設計画の見直しに入った。現庁舎だけでなく、隣接する新庁舎の予定地も浸水したため、計画の再検討が必要と判断した。新庁舎は実施設計の大詰めを迎えていた。
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橋台背面の崩落で路面陥没、台風19号の9日後
長野県南箕輪村の国道361号の「権兵衛2号橋」で橋台背面の土砂が崩れ、路面が陥没した。台風19号以降の大量の降雨やもろい地質などの影響とみられる。
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重要物流道路制度で初の「啓開」代行、丸森町の県管理国道
国土交通省東北地方整備局は、重要物流道路制度に基づき、台風19号で被災した宮城県丸森町の県管理国道で、土砂などを撤去して通行を確保する「啓開」作業を県に代わって実施した。国による啓開代行は、2018年3月の道路法改正で同制度が創設されて以来初めて。災害対応で忙しい県に代わり、国が工事の発注などを担…
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橋の被害が相次いだ千曲川、激流で背面土が崩壊
台風19号で水位が上昇した河川では、橋の被害も相次いだ。とりわけ目を引くのが、橋台背面にある堤防などの盛り土が流失したことによる落橋や損傷だ。
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堤防決壊は西日本豪雨の4倍、浸水面積も上回る
「過去数十年で直轄の堤防がここまで多く決壊したことはないのではないか」。国土交通省水管理・国土保全局治水課の畑山作栄課長補佐は、台風19号の被害についてこう話す。国交省によると、2019年10月25日時点で確認された堤防の決壊は、関東・東北の7県で計71河川140カ所。そのうち国の管理区間の決壊は…
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ため池決壊でまたも被害、危険度調査で不備も
台風19号の大雨の影響で76棟が浸水した宮城県白石市の大鷹沢地区では、山間部の農業用ため池が決壊して被害を拡大した可能性がある。
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堤防を壊し国道を削る高波の脅威
台風19号は紀伊半島にも大きな被害を及ぼした。和歌山県の海沿いを走る国道42号は高波の影響で陥没。串本町古座の動鳴気(どめき)漁港では沖合の堤防が高波で長さ70mわたって崩れた。
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西日本豪雨と比べて台風19号の土砂災害が少なかったのはなぜ?
2018年の西日本豪雨と比べて3倍以上に及ぶ71の河川が決壊するなど、関東・甲信から東北にかけて広範囲に被害を及ぼした台風19号。大規模な浸水被害をもたらす大雨だった割には、土砂災害の件数はそれほど多くないことが明らかになってきた。
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事前に備え、自ら考え、命を守る防災へ
東京大学大学院情報学環・片田敏孝特任教授に聞く
関東や東北地方を中心に記録的な大雨をもたらし、各地の河川を氾濫させた台風19号。東京大学大学院情報学環の片田敏孝特任教授は、台風災害からの避難について、「一人ひとりが自ら考えて逃げる意識」を持つことの大切さを説く。
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武蔵小杉の超高層住宅街を多摩川の濁流がのみ込んだ理由
台風19号を原因とした内水氾濫で中心街が浸水した武蔵小杉。多摩川の濁流はどのように街中まで運ばれたのか。その侵入経路を解明した。
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津波防ぐ堤防があだに、雨水せき止め70棟以上浸水
台風19号の影響で70棟以上が浸水した岩手県山田町の田の浜地区では、東日本大震災後に津波を防ぐために整備した緑地公園の堤防が被害を拡大した。
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1日で満水になった八ツ場ダム、一変した景色を写真で比較
群馬県長野原町で10月1日から試験湛水(たんすい)を始めていた八ツ場(やんば)ダムの貯水率が、台風19号のもたらした大雨で一気に100%近くに到達。付け替え前のJR吾妻線の鉄橋などがダム湖の底に沈み、周辺の風景は大きく変わった。
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緩い傾斜で異例の土砂崩れ、群馬県富岡市で3人死亡
台風19号で3人の犠牲者を出した群馬県富岡市の土砂崩れは、土砂災害警戒区域に指定されない20度の緩い傾斜で発生したために予見が難しいことが、国土交通省などの調査で明らかになってきた。「災害の激甚化により、これまで被災するリスクが低かった緩い斜面でも土砂崩れが起こる可能性がある」と複数の専門家が警鐘…
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阿武隈川支流の破堤で福島県国見町内の下水処理場が水没、復旧に2年以上か
台風19号による大雨の影響で阿武隈川支流の滝川で堤防が破堤し、浸水被害を受けた福島県国見町。町内にある下水処理場の県北浄化センターが水没した。10月18日時点で浸水は解消したが、復旧のめどは立っていない。
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雨戸を閉めた窓が割れ、小屋組みが飛散、千葉県市原市の竜巻
2019年10月12日の午前8時過ぎに千葉県市原市を襲った竜巻は、計89棟に上る建物被害をもたらした。台風による開口部の損傷を防ぐ目的で、雨戸やシャッターを閉じていた建物は少なくなかった。雨戸やシャッターは竜巻対策でも欠かせないが、今回は竜巻による被害を防ぐことが難しかった。
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阿武隈川流れる宮城県丸森町、中心部の大規模浸水は「内水氾濫」か
台風19号の豪雨で中心部に大規模な浸水があった宮城県丸森町。山間部では土砂崩落が多発し、集落が孤立した。日経クロステック記者が10月15日と16日に現地に入った。
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台風15号の千葉被災地、19号でブルーシートが大量飛散、張り方で差も
2019年9月9日未明に上陸した台風15号で著しい被害が発生した千葉県。ほぼ1カ月後の10月12日夜、さらに強力な台風19号が襲った。10月14日に南房総市と館山市、鋸南町を取材すると、強風でブルーシートが剥がれて損傷箇所があらわになっている住宅が多数見つかった。
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行政も把握しきれない破堤、荒川支流に
台風19号がもたらした大雨によって、千曲川や阿武隈川といった大河川だけでなく、支流の決壊や氾濫も相次いだ。その1つが東京都心から北西に50kmほど離れた埼玉県東松山市だ。
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設備救った1mの高台 福島の工業団地で浸水被害に分かれ
台風19号で阿武隈川が氾濫
台風19号の豪雨で冠水した福島県の郡山中央工業団地では、クラリオンマニュファクチャリングアンドサービスが大きな被害を免れた。