2019年9月9日未明に上陸した台風15号で著しい被害が発生した千葉県。ほぼ1カ月後の10月12日夜、さらに強力な台風19号が襲った。10月14日、15号の被害が大きかった県南西部の南房総市と館山市、鋸南町を取材すると、強風でブルーシートが剥がれて損傷箇所があらわになっている住宅が多数見つかった。剥がれたのは、15号で被災した箇所を応急処置していたブルーシートだ。
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鋸南町でブルーシート張りボランティアの派遣依頼を住民から受け付けているNPO法人(特定非営利活動法人)アドラ・ジャパンの小出一博プログラム・オフィサーは、「町内を見回った印象では、15号被害によるブルーシート施工箇所の6割以上に不具合が発生しているようだ」と話す。
館山市で観測された台風19号の最大風速は20.7m/秒、最大瞬間風速は33.9m/秒。15号に比べると低い観測値だが、土のうごとブルーシートを吹き飛ばすには十分な風圧力だった。
福原建築(南房総市)の福原巧太取締役は、剥がれたブルーシートと土のうが屋根の上で絡まりあっているのに驚いていた。「ブルーシートの絡まりをほどいて剥がしてからでないとシートを張り直せないので、途方もなく大変な作業だ」と話す。
佐々木建築(館山市)の大工職、佐々木義将氏は、屋根に重しで置いていたロープ付きの土のうに引っ張られて引き裂かれたブルーシートを発見した。使用していたシートは比較的厚みのある「#3000」タイプだ。
土のう自体が風圧力で吹き飛んで、外壁や開口部、車などを損傷させる二次被害も発生した。白いナイロンロープで重しの土のうを屋根の端部にくくり付けていた現場では、ロープが切れていたという。
「水を吸収した土のうはコンクリートのように硬くて重くなっていたので、飛ぶと危険だ。動かす作業員にも支えている野地板にも、重すぎる負担だ」と福原取締役は話す。