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施工者の工期短縮で台風襲来に間に合う

 八ツ場ダムが水を蓄えたことで、下流の利根川水系の水位上昇を抑えた。埼玉県久喜市栗橋にある利根川の観測所では、13日午前3時に氾濫危険水位8.9mを上回る9.61mの水位を記録。計画高水位の9.9mに迫った。今後の検証が不可欠だが、八ツ場ダムがなければ水位がさらに20cmほど上昇していた可能性がある。

栗橋観測所における利根川の水位変化(資料:国土交通省)
栗橋観測所における利根川の水位変化(資料:国土交通省)
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 ただし、八ツ場ダムの本格運用が始まっていれば、今回のように約7500万m3の水をため込むのは難しかったとみられる。同ダムは洪水期の7月1日から10月5日まで計画上、洪水調節容量として空きを確保しているのは6500万m3にとどまる。ダム湖の堆砂に加え、水道用水などをためておかなければならないからだ。

 八ツ場ダムは堤高116m、堤体積約100万m3の重力式コンクリートダムだ。旧民主党政権下の2009年に計画が凍結され、予定していた本体工事の入札は延期となった。

 その後、国交省は14年になって本体工事の入札を実施。受注した清水建設・鉄建建設・IHIインフラシステムJVは、工期を合計514日間短縮できると技術提案した。

 実際の工事は16年6月に堤体のコンクリート打設を開始し、19年6月に打設を完了。結果的に清水建設JVの工期短縮が功を奏して、台風19号による増水に間に合ったといえる。
(関連記事:八ツ場ダムへ、廃線生かし骨材をベルコン運搬

堤体の工事が進む。上流の八ツ場大橋から2017年11月に撮影(写真:大村 拓也)
堤体の工事が進む。上流の八ツ場大橋から2017年11月に撮影(写真:大村 拓也)
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八ツ場大橋から19年10月10日に撮影(写真:大村 拓也)
八ツ場大橋から19年10月10日に撮影(写真:大村 拓也)
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八ツ場大橋から19年10月13日に撮影(写真:大村 拓也)
八ツ場大橋から19年10月13日に撮影(写真:大村 拓也)
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