2019年10月12日の午前8時過ぎに千葉県市原市を襲った竜巻は、計89棟に上る建物被害をもたらした(10月18日時点)。このうち、住宅8棟と非住宅4棟は全壊していた。人的被害は、横転した車の中にいた男性1人の死亡と、倒壊した住宅内にいた子どもなど計9人の負傷が確認されている。
被害は同市永吉地区から下野地区、潤井戸地区にかけて広がり、なかでも「下野」のバス停付近が著しかった。防災科学技術研究所(茨城県つくば市)の鈴木真一主任研究員は現地の被害状況から、竜巻は南東から北西方向に約2km移動したと推定した。
この停留所付近にあるビニールハウス内で竜巻の通過を体験したという大橋安夫氏は、次のように語る。「ゴーという音が遠くから聞こえ、音と一緒に強風が近付いてきた。外に出ようとしたが風に押し戻されて出られず、ビニールが破れて支柱の鉄パイプがばらばらになった。1分以内の出来事だった」
こうした住民の証言などから、銚子地方気象台は「突風」を「竜巻」であると発表。風速は約55m/秒と推定した。「日本版改良藤田スケール」で、6段階中の3番目に当たる「JEF2」の強さだとも伝えた。
日本版改良藤田スケールが示す「JEF2」の主な被害は「鉄筋コンクリート製電柱の折損」「普通自動車の横転」「木造住宅の上部構造の変形に伴う壁の損傷」「木造小屋組み材の損壊」「鉄骨造倉庫の屋根ふき材の飛散」などだ。
10月14日の現地取材では、銚子地方気象台が「JEF2」と判断した根拠を示す、自動車の横転や電柱の破損などの被害を多数確認した。