
テクノロジーがまずあって、そこからビジネスが発生する。アートはビジネスとはまったく関係ないように思われがちだが、社会のこれからを知ろうとするとき、その胎動は既にアートの世界で見られることがある。複雑なものを複雑なまま表現される芸術作品には多くのひらめきの種が含まれているからだ。そのことを経験的に知っているからこそ、最先端のビジネスパーソンは芸術をおろそかにしない。テクノロジーとともにアートも「人の営為の集積」であるビジネスの礎になる。
本記事ではIT企業の役員を務め、テクノロジーとビジネスの世界で働きつつ、純文学というアートの世界で活躍する「クロステックな作家」、上田岳弘氏がアーティストやテクノロジストと語り合う。
上田氏はIT時代を生きる現代人の虚無を描いた『ニムロッド』(講談社)で2018年下半期の芥川賞を受賞した。2019年5月、世界の終わりを描写した長編『キュー』(新潮社)を出版した。