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主役はモビリティ技術――。家電見本市としてスタートした世界最大のIT見本市「CES」(2020年1月7~10日、米ラスベガス)が、大きな転換点を迎えている。例年のように人工知能(AI)やIoTなど最新技術が目白押しだったが、話題の中心はソニーが初出展した電気自動車(EV)などモビリティ技術だった。日本経済新聞社の編集委員を24年間務め、CESをアジア会場を含め10回以上取材してきたITジャーナリストの関口和一氏は、今年の展示会をどう見たのか。(日経クロステック編集部)

 「様々なパートナーの協力を得て我々自身で造りました」。ソニーが開発した初の自動車「VISION-S(ビジョン エス)」をお披露目した吉田憲一郎社長は、日本の電機メーカーとしての技術力を自慢そうに語る。

CESでソニー初の電気自動車の試作を発表した吉田憲一郎社長
CESでソニー初の電気自動車の試作を発表した吉田憲一郎社長
(写真:関口和一、以下同)
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 ソニーは2019年3月期の連結営業利益で2期連続の最高益を上げたものの、新しいものを生み出す「ソニーらしさ」を失ったといわれていただけに、その復活を強調したいようだ。実際、直後にソニーの時価総額はITバブル以来、ほぼ20年ぶりに10兆円の大台を回復した。

にこやかにインタビューに応じるソニーの吉田憲一郎社長
にこやかにインタビューに応じるソニーの吉田憲一郎社長
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 開発は同社の犬型ロボット「アイボ」を担当するチームが欧州に約20カ月間滞在し、少人数で極秘裏に進めてきた。車線変更などができる自動運転のレベル2以上に対応し、運転席の前には左右一杯に横長の大型液晶画面が置かれ、カーナビの表示だけでなく映画の鑑賞などができる。家庭用に開発した独自技術「360度リアリティオーディオ」も投入し、立体感のある音響映像空間を車内に実現した。まさにソニーならではの仕上がりといえる。

インパネ部分に大型の液晶画面を左右一杯に設置
インパネ部分に大型の液晶画面を左右一杯に設置
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