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8種類のCIMモデルで効果確認

 設計段階でCIMを導入した立野ダムでは、8種類のCIMモデルを作製して効果などを検証した(図2、3)。

図2■ 設計で作製したモデルを施工でどこまで使えるか
図2■ 設計で作製したモデルを施工でどこまで使えるか
立野ダムで作製したCIMモデル。施工で活用できるものは活用していく。下も国土交通省立野ダム工事事務所の資料を基に日経コンストラクションが作成
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図3■ 設計段階のCIMモデルで何ができたのか
図3■ 設計段階のCIMモデルで何ができたのか
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立野ダム建設事業の設計段階で作製したモデルと確認された効果
立野ダム建設事業の設計段階で作製したモデルと確認された効果
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 その1つが地質区分図だ。縦断と横断それぞれの地質区分図を格子状に重ねて3次元的に表現した。完全な3次元モデルとは異なるが、おおまかな全体像はつかめる。複数の断面図を1度に確認でき、ダムサイトとの位置関係も分かりやすくなった。縦断と横断を重ねることで、図面同士のずれもチェックできた。

 建設予定の地域では、16年4月の熊本地震で土砂崩れなどが発生した。そこで、地形の変化を見るため、地震後に航空レーザー測量を実施。得られた地形データ(LPデータ)と、地震前に取得したデータとの差分を色分けして表示する「ヒートマップ」を作製した。崩れて低くなった場所や、土砂が堆積して高くなった場所などが、色の違いで分かる仕組みだ。ヒートマップを3次元で表現し、崩壊箇所や堆積土量などが一目で分かるようにした。

 立野ダム工事事務所はこれを参考に、地震後の対応を検討。堆積土砂の撤去などを実施した。現地の岩盤などには異常は生じなかったので、対応は土砂撤去だけで済んだ。

 同事務所は設計終了後、作製したCIMモデルのデータを全て施工者に渡した。施工段階でできる限り活用していく考えだ。活用できなかったモデルについては、その理由を調べ、今後の改善につなげていく。

[人材育成] 研修だけでは駄目

小林 一郎
小林 一郎
熊本大学大学院先端科学研究部特任教授(写真:日経コンストラクション)
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 情報インフラをそろえない限り、CIMはあり得ない。5年かけてそれを説き、パソコンを200台整備した。CIMで働き方改革まで目指すのなら、自分たちで使えないといけない。

 最大のポイントは人材育成だ。4つのダム事務所で、「CIMガールズ」(CIM操作チーム)と名付けた4人の女性職員が、CIMを使いこなせるようになった。今後、後継ぎをどう育てるかが課題となっている。

 研修すれば済むと考えるのは大きな間違いだ。例えば3日間、机上で勉強して、車が運転できるようになるわけがない。1年、あるいは2年、鍛えないといけない。本当にできる人を育てたいのなら、出先事務所でマンツーマンに近い形で育てるしかない。(談)