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DMG森精機は主力の伊賀事業所で実証

 DMG森精機も自社工場で5Gによる生産設備のモニタリングの実証試験を計画している。まずは欧州の工場で2019年内にも先行試験を実施し、2020年第1四半期に主力の伊賀事業所で5Gを使った稼働監視の実証試験を行う。

 同社はかねて既存の携帯電話回線網を使った遠隔監視サービスを提供してきた。これまでは収集する情報が稼働ログなどに限られていたため3GやLTE/4G回線で事足りていた。しかし、センシング項目が増えるとともに、画像や映像を扱う必要が出てきた。そこで期待をかけているのが5Gだ。画像・映像データを大量に集められれば、AIを駆使してサービスの質の向上や新しいサービス提供につなげられるとみている。

 例えば、同社が近々提供開始を予定している「AI切りくず除去ソリューション」。加工室内の2台のカメラの画像を基に、加工後にどこにどれくらいの切りくずが堆積しているか、どういう洗浄経路なら切りくずをうまく流し落とせるかをAIが推算し、クーラントを吐出して切りくずを洗い流す。こうした機能の開発・改良には、AIに学習させる大量の画像データが必要となる。そこで、自社だけでなく同社の工作機械を使う顧客の工場のデータも了承を得た上で集め、AIモデルの精度向上に役立てようとしている*3

*3 将来は刃物台などの回転体にセンサーを埋め込み、計測データを無線で伝送するといった使い方も想定しているという。現在も温度センサーや振動センサーを付けているが、より加工点に近い箇所を測定できれば、異常の予兆をより早く検出したり、温度補正の精度を高めたりできるとの期待がある。

全作業者の動きを画像で分析

 富士通は、5Gの基地局を生産する小山工場で実証試験を行う。同工場はIoTを活用したスマートファクトリー化を進めており、生産設備からデータを収集してダッシュボードに分析データを表示する仕組みを構築している。今後、AIなどを活用して、こうしたデータ収集と現場へのフィードバックの仕組みを進化させる考えだ。

富士通小山工場のデジタルダッシュボード
富士通小山工場のデジタルダッシュボード
工場の設備などから集めたリアルタイムの稼働状況や分析データを閲覧できる。ローカル5Gによる工場ネットワークの無線化でさらにきめ細かいデータや大量の画像・映像などの収集を狙う。(撮影:日経ものづくり)
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 その1つが、作業者の動きを撮影した映像から骨格を検出し、AIで動作を分析する「骨格検知システム」。ベテランと若手の動きを比較したり、標準作業からの逸脱やポカミスを検出したりするのに用いる。

 「骨格検知はセンサーの代わりになる。作業者1人ひとりを全てセンシングできるようにしたい」〔富士通テレコムネットワークス(本社栃木県小山市)執行役員生産技術・製造部門担当の寺内秀明氏〕。しかし、現場にあまねくカメラを設置したとして、その画像データを有線で伝送するとなると、フロアが配線だらけになってしまう。そこで工場の無線ネットワークとして期待しているのが5Gだ。「作業者の動きのデータを全ての領域で活用したい。それには5Gによる工場全体のネットワークの高速化が必要」(同氏)。まずは2019年度中には生産現場のエッジ領域に光回線を敷設して5G並の通信速度を確保。高速通信網の活用方法や課題を洗い出しつつ、ローカル5Gの免許を取得後に速やかに移行させたいとしている。