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 Q  6  5Gはいつ導入するのがベストか?

 A  5G産業利用の本命である多数同時接続(mMTC)と高信頼・低遅延(URLLC)の実用化は早くても2021年以降。今、あわてて導入する必要はない。しかし、早めに経験を積んで備えるべきだ。

 2020年に始まる5G商用サービスは5Gの3本柱のうち高速・大容量(eMBB)のみを先行的に導入した仕様になる。5G産業利用の本命となる多数同時接続と高信頼・低遅延の実用化は早くても2021年、おそらく2022年以降になる。

5G標準仕様のロードマップ
5G標準仕様のロードマップ
3GPPが作成する5Gの標準仕様のリリース15ではeMBBサービスに焦点を合わせている。mMTCやURLLCは2019年末までに完成する予定のリリース16と、その後のリリース17で強化される予定。(出所:ZVEI)
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 5Gなど移動体通信システムの標準化を担う3GPPは5Gの最初の標準仕様として2018年6月に策定が完了したリリース15にeMBBを盛り込んでいる。一方、mMTCとURLLCについては、今後仕様が確定するリリース16やリリース17で順次標準化されていく予定である。

 標準仕様が固まっても、その仕様に準拠した基地局や無線端末がすぐに製品化されるわけではない。まず、LSIベンダーが仕様に基づいた無線チップを開発し、基地局や端末が製品化されるのはその後になる。このプロセスに最低でも2年はかかるからだ

 一方で、ローカル5Gの制度がスタートする2020年から、5Gを活用した工場改革にすぐ手をつけるのは早急か、というとそうとも言い切れない。早期に経験を積み、5Gの電波特性などを明確に理解しておけば、mMTCとURLLCのリリース後にすぐ活用できる。

 例えば、DMG森精機は2020年初頭から5Gの実証実験を予定する。専務取締役R&Dカンパニープレジデントの藤嶋誠氏は「大量の情報を収集するのには5Gが適している。将来は低遅延・高速大容量という特性を生かして工場でのデータ収集を加速させたい」と意気込む。

 工場への5G導入を将来検討している企業は、eMBBの特性を生かす用途でまず導入して準備を進めておき、mMTCとURLLCのリリースを待つのが賢明だろう。