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 米グーグルは量子コンピューターのハードウエア開発で相当に苦労した。当初は2018年1月に発表した72量子ビットを搭載する量子プロセッサー「Bristlecone(ブリストルコーン)」で量子超越性を実証するはずだったが難航した。2019年に新しい量子プロセッサーで54量子ビットを搭載する「Sycamore」を完成させ、量子超越性の実証にこぎ着けた。

量子コンピューター「Sycamore」は100本以上の同軸ケーブルで制御する
量子コンピューター「Sycamore」は100本以上の同軸ケーブルで制御する
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 BristleconeとSycamoreは量子ビットの接続方式が異なる。Bristleconeは量子ビット同士の接続関係が固定であるのに対して、Sycamoreは量子ビットの接続関係を後から変えられる。

 量子ビットの接続関係は、量子ビットを制御するマイクロ波の周波数によって決まる。周波数が同じだと両者の間に「量子もつれ」などを発生させられる。Sycamoreはカプラーという機構で対応するマイクロ波の周波数を変えることによって、接続関係を自由に調整できる。一方のBristleconeは使用する周波数が固定であるため接続関係を変えられなかった。

 量子ビットの接続関係は量子プロセッサー全体のエラー率に影響を与える。接続部分でエラーが発生すると、他の量子ビットに悪影響を及ぼすからだ。Sycamoreは量子ビット間の接続関係を変えられるので、Bristleconeよりも接続に起因するエラーを抑えられた。それが成功に寄与した。

ワイヤリングの課題解決にも着手

 グーグルはワイヤリングの問題にも手を付け始めている。超電導回路を採用する量子プロセッサーは、15ミリケルビンという超低温で稼働させる必要がある。並行して希釈冷凍機の外部にある量子ビット・コントロール・システムから同軸ケーブルをつないでパルスを送り、量子ビットを制御する。

 同軸ケーブルは量子ビット1個当たり2本必要であるほか他の制御用にも必要になるため、Sycamoreの場合は100本以上の同軸ケーブルをつなぐ必要がある。外部からつなぐケーブルが増えると希釈冷凍機の温度管理が難しくなるため、今後量子ビットを増やしていく上で大きな課題となる。