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 PCのメインストレージは完全にSSDへと移行した感がある。そのSSDは、PCI Express(PCIe)に対応した製品が増えてきている。今回は、現在から2020年にかけてのPC向けストレージの状況をまとめよう。

PCI Express 4.0対応の超高速SSD登場、だが普及はまだ先

 PC向けストレージにおける2019年最大のトピックは、PCI Express 4.0(PCIe 4.0)対応SSDの登場だろう。PCIe 4.0はデータ帯域がPCIe 3.0の2倍になっており、SSDでよく使われる4レーン(PCIe 4.0x4)の帯域は約8Gバイト/秒に上る。

 米AMDの第3世代Ryzenとそれに対応したX570チップセットが業界に先駆けてPCIe 4.0をサポートしたことに伴い、PCIe 4.0対応SSDが台湾ギガバイトテクノロジー(GIGABYTE)やCFD販売などから登場してきた。

 インターフェースが高速になってもSSD自体の性能が伴わなければ性能は上がらないが、実際に登場した製品はいずれも超高速。実測でもPCIe 3.0x4の理論上限帯域(約4Gバイト/秒)をはるかに超えており、ハイエンド志向のユーザーの注目を大いに集めている。

Ryzen 5 3600、ASRockX570 Taichi環境で実行したPCIe 4.0対応SSD「CSSD-M2B1TP3VNF」(CFD販売)のベンチマークテスト結果。ASRockが測定したもので、機材はいずれも正式発売前の試作機を使っている
Ryzen 5 3600、ASRockX570 Taichi環境で実行したPCIe 4.0対応SSD「CSSD-M2B1TP3VNF」(CFD販売)のベンチマークテスト結果。ASRockが測定したもので、機材はいずれも正式発売前の試作機を使っている
(出所:台湾ASRock)
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 もっとも、現状PCIe 4.0対応SSDが本来の性能を発揮できる環境は、AMDの第3世代RyzenとX570チップセットと組み合わせた場合のみ。米インテルのCPUとチップセットはPCIe 4.0に対応しておらず、同社は今後の姿勢を明確にしていない。

 また現状ではPCIe 4.0に対応するチップセット、SSDともに発熱しやすいこともあって、薄型軽量ノートPCへの搭載も難しそうだ。2020年に、PCIe 4.0へ一気に移行していくことにはならないだろう。

ギガバイトテクノロジー(GIGABYTE)の「AORUS NVMe Gen4 SSD 2TB」。いち早くPCIe 4.0に対応した製品の1つで、シーケンシャルリードは5000Mバイト/秒、シーケンシャルライトは4400Mバイト/秒
ギガバイトテクノロジー(GIGABYTE)の「AORUS NVMe Gen4 SSD 2TB」。いち早くPCIe 4.0に対応した製品の1つで、シーケンシャルリードは5000Mバイト/秒、シーケンシャルライトは4400Mバイト/秒
(出所:日本ギガバイト)
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PCIe 4.0対応SSDが本領を発揮できる環境は、現時点では第3世代RyzenとX570チップセットを組み合わせた環境のみ。写真は台湾ASRockのX570チップセット搭載マザーボード「X570 Taichi」
PCIe 4.0対応SSDが本領を発揮できる環境は、現時点では第3世代RyzenとX570チップセットを組み合わせた環境のみ。写真は台湾ASRockのX570チップセット搭載マザーボード「X570 Taichi」
(出所:台湾ASRock)
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