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モバイルで普及が進むUSB PD

 最近の薄型軽量ノートPCやタブレット、2in1などは、Type-Cポート(あるいはThunderbolt 3ポート)がPCの充電端子を兼ねる製品が増えている。基本的にこれはUSB PDを利用している。

 USB PDに対応したPCは、同じくUSB PDに対応したACアダプターやモバイルバッテリーなどで充電できる。モバイルでいざというときに汎用品が使える安心感は大きい。

 外付け液晶ディスプレーにもUSB PD対応製品がある。こうしたディスプレーの中にはType-Cケーブル1本で画面出力とUSBハブ機能、PCの充電を同時にこなすものもあり、非常にスマートな運用が可能になっている。

 USB PDで流せる電力は最大100Wとなっている。ただしこれは規格上の上限で、実際に販売されているUSB PD対応ACアダプターは45Wや30Wが上限の場合も多い。PC側の必要仕様を下回っていると、うまく充電されない可能性がある。60W以上で充電するには、Type-Cケーブルも5A(通常のType-Cケーブルは3A)に対応した製品を使う必要がある。

 なおUSB PD対応を公表しているメーカーでも、基本的に自社製品以外のACアダプターやモバイルバッテリーについては動作保証をしていない。その点を理解した上で利用する必要がある。ただしPC側からスマートフォンなど周辺機器を充電する機能(給電)に関しては、USB PDに対応していなくても可能だ。USB 2.0は2.5W、USB 3.2は4.5Wまでの給電機能がベース仕様に含まれている。PC側と周辺機器側ともにType-Cである場合は最大15Wを供給できる。これを「Type-C Current」という。

 Type-C CurrentとUSB PDでは、接続デバイス間の通信によって充電および給電の電力が決まる。USB4にはデフォルトの電力仕様は含まれておらず、Type-C Current(USB PD対応の場合はUSB PD)の仕様を利用する。

USBの主な電力仕様。Type-C CurrentとUSB PDは接続機器間の通信で容量が決まる。USB4ベース仕様では電力仕様は定められていない
USBの主な電力仕様。Type-C CurrentとUSB PDは接続機器間の通信で容量が決まる。USB4ベース仕様では電力仕様は定められていない
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USB Type-Cを利用したディスプレー出力

 USB Type-Cには、USB以外の信号線を流す「Alternate Mode(Alt Mode)」仕様が用意されており、ここに各種のディスプレー信号を流す規格が策定されている。「DisplayPort Alt Mode」や「HDMI Alt Mode」、「Thunderbolt 3」、VR用の「VirtualLink」などがある。

 製品化で先行しているのはDisplayPort Alt ModeとThunderbolt 3だ。DisplayPort Alt ModeについてはPC側、液晶ディスプレー側ともに実装例が多く存在している。Thunderbolt 3については、Thunderbolt 3の独自信号の他に、DisplayPort信号もそのまま流せるため、Thunderbolt 3対応のPCはDisplayPort Alt Mode対応のディスプレーも使える。

USB Type-Cの拡張仕様「Alternate Mode」を利用したType-Cのディスプレー出力仕様。各インターフェースの対応規格バージョンは変更される可能性がある
USB Type-Cの拡張仕様「Alternate Mode」を利用したType-Cのディスプレー出力仕様。各インターフェースの対応規格バージョンは変更される可能性がある
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第10世代Coreプロセッサー搭載機で標準装備となったThunderbolt 3

 Thunderbolt 3について改めてまとめておこう。Thunderbolt 3は、USB Type-Cポートを利用した多用途のインターフェースで、USB(USB 3.2 Gen.2)、DisplayPortの信号をそのまま流せる他、最大40Gビット/秒のThunderbolt 3独自信号(DisplayPortとPCI Expressが混在する)による通信が可能。接続する周辺機器によって機能が自動的に切り替わる。

 給電仕様は、標準ではType-C Currentと同様の15Wまで。USB PD仕様と併用でき、USB PD対応のThunderbolt 3ポートならば最大100Wまでの充電/給電が可能だ。

 Thunderbolt 3は、現時点で上位クラスのノートPCにかなり多くの採用例がある。さらに第10世代CoreプロセッサーはThunderbolt 3をCPUに標準搭載するようになったため、2020年発売の米インテルCPU搭載ノートPCではほぼ標準装備に近い状態になると予想される。

第10世代Coreプロセッサー(Ice Lake)ではCPUダイに、第10世代Coreプロセッサー(Comet Lake)はチップセットダイにThunderbolt 3コントローラーを統合。今後のインテルCPU搭載ノートPCはエントリークラス以外ならばThunderbolt 3がほぼ標準装備に近い状態になると予想される
第10世代Coreプロセッサー(Ice Lake)ではCPUダイに、第10世代Coreプロセッサー(Comet Lake)はチップセットダイにThunderbolt 3コントローラーを統合。今後のインテルCPU搭載ノートPCはエントリークラス以外ならばThunderbolt 3がほぼ標準装備に近い状態になると予想される
(出所:米インテル)
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鈴木 雅暢(すずき まさのぶ)
フリーランスの写真も撮れるライター。旧アスキー、ソフトバンク系列の出版社でIT系雑誌の編集者を経て、2004年にフリーランスとして独立。IT系、特にPCハードウエアの解説記事や製品レビュー、インタビューなどを、雑誌やWebに寄稿している。