LTE搭載ノートPCが順調に普及
モバイル向けノートPCでは、SIMフリーの無線WAN(WWAN)機能を搭載する製品が順調に増えている。特にビジネス向けは、多くの機種がBTO(Build To Order)でWWANを選択可能になってきている。下り最大450Mビット/秒(Cat.9)対応のLTE(LTE-Advanced)モデムの搭載が主流だ。
LTEの次の世代である5Gの準備も進んでいる。2019年5月に米クアルコム(Qualcomm)と中国レノボ(Lenovo)が共同で世界初の5GPC「Project Limitless」を発表した。プロセッサー「Snapdragon 8cx」と5G対応モデム「Snapdragon X55」を搭載するという。
もっとも、これは製品発表というよりも開発発表というべき内容。日本においては通信事業者側もまだイベント会場内などで実証実験をしている段階だ。日本での一般向けサービス開始は2020年春から夏なので、多くのユーザーが意識するのはもう少し先だろう。
ここでは、本特集で触れてこなかったPC機能の2020年にかけての動向を見ていく。まずはディスプレーインターフェースだ。
現行の主要規格を下の表にまとめた。現在でもHDMIは1.4aまで、DisplayPortは1.2aまでの対応というPCが多い。その一方で、4K解像度やHDR対応ディスプレーが増えたことからHDMI 2.0bやDisplayPort 1.4aに対応したPCが徐々に増えている。
インテルの第10世代Coreプロセッサー(Ice Lake)の内蔵GPUも、HDMI 2.0bとDisplayPort 1.4aを標準サポートしており、2020年はさらに増えそうだ。
最近の動きとしては、2019年にDisplayPort 2.0の仕様が公開された。通信速度が従来の32.4Gビット/秒(実効25.92Gビット/秒)から80Gビット/秒(実効77.37Gビット/秒)へと大幅に向上。シングルディスプレーで16K/60Hzという超高解像度表示が可能になっている。
クリエイター用途でUHS-II対応が増える
多くのノートPCが搭載しているメモリーカードスロットについても整理しておこう。
高性能PCが必要な用途として、クリエーティブ(写真編集、RAW現像やビデオ編集、CGレンダリングなど)に注目が集まるケースが増え「クリエイターPC」と呼ばれるジャンルが確立されつつある。
一般的なPCでは、メモリーカードスロットはあまり重視されない傾向がある。UHS-I(Ultra High Speed-I)までの対応やHS(High-Speed)のみに対応する製品も多い。これに対してクリエーティブを意識したPCは、UHS-IIに対応するメモリーカードスロットを備えるものが増えている。
UHS-IIは中位クラス以上のカメラデバイスで普及段階に入り、メディアの選択肢も豊富。HSやUHS-IとUHS-IIでは実際の転送性能も大きく違うため、SDメモリーカードスロットを利用する前提ならば注目すべき仕様だろう。