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前回まで、内燃機関搭載車両でゼロエミッションを実現するため、AICEが目指す産学官連携や、AICEの具体的な研究活動について述べてきた。今回は、AICEのモデルベース開発に関する取り組みについて解説してもらう。(編集部)

 MBD(モデルベース開発、Model Base Development)は、車両企画やシステム設計などの各開発工程において、モデルを作りシミュレーションしながら開発を進める手法である(図1)。モデルには、車両やシステム、それらの構成部品、それらに影響を与える物理現象などがある。

図1 MBD(モデルベース開発)とは
図1 MBD(モデルベース開発)とは
それぞれの開発工程において、シミュレーション技術を取り入れた開発手法。試行錯誤ではなく、手戻りのない体系的な開発・設計ができる。開発における属人性の排除が可能となる。(左)はMBDを使わない従来の開発方法。(右)はMBDを使った開発方法。
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 各工程でシミュレーションによる仮想実験を済ませ、目標の成立性を確認しながら次の工程に進める。従来のように、試作・評価して初めて目標未達に気づき、車両企画やシステム設計まで戻って再検討(手戻り)することがなくなる。試作・再検討の時間を削減でき、開発期間を短縮できる。

 またMBDを使えば、通常の実験・計測で起こっている把握が困難な現象でも、シミュレーションで把握できる。さらに、設計者のスキルや経験に頼っていた作業が、シミュレーションの活用で、ほかの作業者でも同等の結果が得られるようになる。開発における属人的な部分を排除できる。