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文の主格を明確にする

 あいまいさは単語だけでなく、文の書き方によっても生まれる。日本語の特性として、主格があいまいな場合がある。典型的なのは「帳票が出力される」のように受け身形を用いたときだ。この場合、誰かがシステムを操作して帳票を出力するのか、システムによって自動的に帳票が出力されるのかがはっきりしない。自明な場合を除いて、主格を明記するように心がけたい。

 係り受けも、あいまいさにつながる。次の文を見てほしい。

新たに開発する生産管理システムの機能

 この場合、新たに開発するのが、「生産管理システム」なのか「機能」なのかがはっきりしない。係り受けをはっきりさせるには、「新たに開発する、生産管理システムの機能」のように読点を用いる方法がある。ただし分かりやすさを考えると、文の構造そのものを変えるほうがよい。

 係り受けのあいまいさをなくすには、例えば次のように書き換える。

・新規開発の生産管理システムが備える機能

・生産管理システムにおいて新たに開発する機能

 このほか、「これ」「それ」「こうした」「そうした」といった指示語、「の」という助詞、順接とも逆接とも取れる接続詞の「が」などによっても、あいまいさが生まれやすい。意味が明確になるように書き換えるようにしたい。

ITエンジニアの文書によく見られるあいまいな表現
ITエンジニアの文書によく見られるあいまいな表現
あいまいな表現を使うと、書き手の意図とは違う解釈の仕方をされかねない。意図的にあいまいな表現にしている場合は除いて、より具体的な言葉に置き換えられないかを考えたい
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強調語がそれ以外の意味を持つ

 意味のあいまいさを排除するため、特に注意が必要な落とし穴がもう1つある。事務用品の購入に関する社内の承認ルールを説明した、次の文章を見てほしい。

指定された取引先以外から購入する場合は、所属部門長による事前承認が必要となる。また取引先に関係なく、購入額が10万円以上の場合は、必ず経理部による事前承認が必要である。

 違和感なく読めたかもしれないが、2つ目の文にだけ「必ず」という言葉を使っていることに着目してほしい。これによって、1つ目の文は「所属部門長による事前承認が必要だが、必ずではない」という解釈も可能になる。「単なる強調の意味で『必ず』や『常に』のような言葉を使うドキュメントをよく見かけるが、ほかの文に強調語が付いていなければ、誤解のもとになる」(前出のI氏)。

注1)結論を先に書く
異論を持つ相手を説得する場合など、論拠から入り結論を最後に持ってきたほうが良い場合もある。ただし、正確に分かりやすく伝えるという目的の場合は、結論は先に書くべきである。

 次回は鉄則3~5を解説する。