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NTTドコモは2017年3月からRPAの導入に着手。IT統制を踏まえてRPAの開発や運用のルールを整備してきた。2019年4月からはより本格的な普及に乗り出し、ドコモショップを支える業務などへの適用が進む。

 あるグループ会社からRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を使ってPC作業を自動化したいという要望が出てきた。ちょうど本社でも使おうとしていたところなので、統制を利かせながら導入しよう──。2017年3月、こうしたきっかけでグループ全体で導入を始めたのがNTTドコモだ。

 同社の情報システム部は10年ほど前からIT統制を重視してきた。背景にはかつての苦い経験があった。過去に「基幹系システムをより便利に使いたい」という業務担当者のニーズを受けて、各部門で業務システムを数多く稼働させてきたところ、開発に携わった業務担当者が異動すると保守が滞ったり、使われなくなったりする事態に直面したのだ。

 RPAについても同様の課題に直面することが予想された。そこで「統制を利かせながらRPAを導入できるよう、開発や運用ルールを定めることにした」とNTTドコモの情報システム部で情報企画とIT最適化推進を担当する加藤典康担当部長は説明する。

 具体的には、現場の業務担当者がRPAのソフトウエアロボット(ソフトロボ)を開発してもよいPC作業を明確にしたり、統制を利かせられるようなRPAツールを選定したりした。

 業務担当者がソフトロボを開発してよい対象は、各業務部門内で利用しているようなシステムだ。会計をはじめとする基幹系システム「dDREAMS」にデータを入力する処理を自動化するソフトロボを開発できるのは、情報システム部に限定した。

 ソフトロボが基幹系に間違ったデータを自動入力してしまうと、決算など会計データの誤りにつながりかねない。情報システム部がデータの誤りなどのリスクを排除して、ソフトロボを開発していくことにした。dDREAMSにデータを入力する前にExcelなどを使ってデータを整形するソフトロボや、dDREAMSからデータを取得するソフトロボは、業務担当者でも開発できるようにした。

NTTドコモが決めた自動化するPC作業と開発主体の内訳
NTTドコモが決めた自動化するPC作業と開発主体の内訳
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 RPAツールは使い勝手を考えて、米ユーアイパスの「UiPath」を採用した。例えば「システム画面上に複数あるボタンのうち、『はい』と書かれたボタンを押す」といった操作をソフトロボに設定する際、UiPathなら「『はい』と書かれたボタンを押す」といった指定方法でソフトロボの動きを制御できた。

 当時検討した他のツールでは、画面上のボタンの位置座標を指定する必要があった。しかしこの方式でソフトロボを開発した場合、システム画面のサイズが変わるとソフトロボが間違ったボタンを押す恐れがあった。UiPathの場合は、そうした誤作動のリスクを減らせる。またUiPathが複数のソフトロボの稼働状況を管理する機能を備えていたことも採用の決め手になったという。