全1629文字
PR

大企業では珍しい「現場主導型」でRPAの導入を進めてきた積水ハウス。従業員1人1人の業務が多岐にわたるため、あえて「茨(いばら)の道」を選んだ。

 「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)はIT部門がソフトウエアロボット(ソフトロボ)を一元管理して横展開していくのが定石だが、我々はあえて茨(いばら)の道を選んだ」――。積水ハウスの大木聡IT業務部部長はこう説明する。

積水ハウスの大木聡IT業務部部長
積水ハウスの大木聡IT業務部部長
[画像のクリックで拡大表示]

 同社がRPA活用に乗り出したのは2018年5月。重視したのは、業務を一番理解している現場社員自らがソフトロボを開発し、メンテナンスも自分で行う「現場主導」で導入を進めることだ。

 大企業におけるRPA導入においては、IT部門がソフトロボを開発して一元管理し、大規模に横展開するケースが多い。IT統制が利くし、誰も管理していない「野良ロボット」の発生を防止できる。だが同社はあえて現場主導を徹底し「IT業務部はサポートに回ることに注力した」(大木部長)という。

すべての業務をIT部門が把握するのは非効率

 現場主導でいこうと判断した理由は、同社においては社員1人1人の業務が多岐にわたっており、これらすべての業務をIT部門で把握してソフトロボを開発するのは非効率と考えたためだ。「業務効率化が目的でRPAを導入したのに、IT部門の負担が増えてしまっては元も子もない。ある程度IT部門側でルールを決めて、現場に任せる方が効率的と考えた」(大木部長)。

 RPA導入の検討を始めた当初は、全国約120の事業所で働く社員向けシステムでの利用を想定していたという。最も効果が出やすいと見込んだためだ。しかし調査する過程で「現場で使われているシステムはスクラッチ開発したもので、すでに自動集計などの機能が実装されるなど、RPAを使う余地がほとんどないほど効率化されていた」(大木部長)。

 そのため事業所ではなく本社で働く従業員の業務にRPAを適用することにした。具体的にはRPAに最も関心を示していた総務部で2018年7月にテスト導入を始めた。大木部長らIT業務部は総務部20人に対してRPA活用のための研修を実施した。

 さらにソフトロボを開発する際には、それがどのようなPC作業をするのかドキュメントにまとめておくよう義務付けた。ソフトロボがエラーで止まった場合に、その先のPC作業を人間が引き継げるようにするためだ。

積水ハウスが社員に義務付けたRPA作成用のドキュメント。ソフトロボの作業内容を細かく掲載している
積水ハウスが社員に義務付けたRPA作成用のドキュメント。ソフトロボの作業内容を細かく掲載している
[画像のクリックで拡大表示]

 ドキュメントを整備することで、ソフトロボを開発した担当者が異動した際も、何をするソフトロボなのかをドキュメントから把握できるようになった。