1400台以上のソフトウエアロボット(ソフトロボ)を稼働させ、年間100万時間以上のPC作業を削減――。RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)活用で桁違いの成果を出しているのが三井住友銀行を中心とする三井住友フィナンシャルグループ(FG)だ。
同社は2017年4月からの3カ年中期経営計画で、デジタル技術を使った生産性の向上を掲げている。RPAは生産性向上の切り札として導入を進めてきた。
「RPAで定型業務を自動化し、従業員にはより付加価値の高い業務に力を注いでもらう狙いがある」。三井住友銀行の完全子会社で、RPAの導入を支援するSMBCバリュークリエーションの山本慶社長は狙いをこう語る。
三井住友FGは2017年1月からRPA活用の準備を始め、同年4月に本格展開を始めた。行内にRPAの導入を支援する組織を設け、アクセンチュアやデロイトトーマツコンサルティングなど大手コンサルティングファームからITコンサルタントなど約150人を派遣してもらい、行員向けにRPAの研修を行うなどして導入を進めてきた。
例えば銀行の営業店への導入事例では、顧客向け運用リポートの作成にRPAを活用した。従来は営業担当者が毎朝出社後に、その日訪問する顧客向けのリポートを手作業で作成していた。
この作業をソフトロボに代替し、ロボットが毎朝営業開始前に各営業担当者のスケジュールからその日に訪問予定の顧客の情報を洗い出し、その顧客が運用する商品の最新情報を収集して自動でリポートを作成するようにした。営業担当者はロボットから送られてくるリポートをチェックするだけで済み、作業時間を8割削減できたという。
そのほか、金融商品の不正な販売を防ぐ「金融商品取引モニタリング」にかかわる集計業務や、海外送金の業務を効率化するソフトロボも開発。同社は2019年9月末までの2年半でロボット1400台以上を稼働させ、累計290万時間、1450人分の業務をRPAによって代替した。