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オフィス移転を機に働き方改革を進めたが、PC作業をする社員の多くが改革の効果を実感していなかった。大同生命保険はこの課題をとらえてRPAを導入。500種類、年3万時間のPC作業を自動化できた。

 東京本社の移転を機に、最新のオフィス環境やITを取り入れて働き方を改革した。その結果、管理職など役職者は新たに導入したWeb会議システムなどを活用することで改革の効果を実感している。しかし、PC作業が中心の本社スタッフの多くは改革の効果を実感していない――。

 こうした働き方改革の課題に直面して、2017年夏からPC作業を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入を進めてきたのが、中小企業やその経営者向けの保険などを手掛ける大同生命保険だ。同社は2015年12月から2016年1月にかけて、東京・浜松町にあった東京本社を、東京・日本橋へ移転。新しいオフィス環境やITを整備したり、ペーパーレスを進めたりする働き方改革を進めた。

 その成果を測るために同社は2016年12月、本社の社員を対象にアンケート調査を実施した。回答者全体の約7割が「時間が有効に活用できるようになった」と回答したものの、PC作業が日常業務で多いスタッフだけに絞り込んで結果を分析すると「変化を感じない」という回答がおよそ5割だった。

 この調査結果によってスタッフを対象にした働き方改革をより一層加速させる必要があると分かった。「PCを使ったデスクワークの働き方改革を進めるため、RPAを導入することにした」と、大同生命保険の上田雄一郎品質管理部課長は説明する。上田課長が所属する品質管理部は本社や支社で行う事務作業を管理する部門で、RPAの社内普及プロジェクトも推進している。

業務部門の協力を得て500種類のRPA対象業務を発見

 2017年8月から9月までの2カ月間、RPAで自動化する業務の洗い出しと、RPAの適用トライアルを進めた。各業務部門にRPAで自動化できそうな業務の洗い出しを依頼したところ、500種類のPC作業が出てきた。このうち「11種類の業務にRPAを先行適用して効果が出るかを確認。合わせて年1000時間分の業務を自動化できることが分かり、残りの業務についてもRPAで自動化することにした」と堂埜宏太品質管理部事務改革推進課長は振り返る。

 業務部門がRPAの自動化候補を500種類も挙げることができたのには理由がある。「人による判断が入らないPC作業」「判断などがルール化できるPC作業」といったRPAによる自動化が向く作業を示して洗い出しを依頼するだけでなく、PC作業に関する質問に「はい」「いいえ」といくつか答えていくと、そのPC作業がRPAによる自動化に向くかどうかが分かる「業務効率化検討シート」と呼ぶ図表を、品質管理部が作成して社内に配った。

大同生命保険が作成した業務効率化検討シート
大同生命保険が作成した業務効率化検討シート
(出所:大同生命保険)
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 RPAの適用範囲を増やす工夫もした。具体的には業務担当者に「人の判断が必要なPC作業でも、その判断をする前や後のPC作業をRPAで自動化できないか」「これまでのPC作業の手順を変えることで、RPAを適用できないか」といった観点で、自身の業務を振り返ってもらった。こうした一連の取り組みが奏功して、2カ月で500種類のPC作業がRPAの適用候補としてリストアップできた。

 2017年9月までの適用トライアルでは、リストアップされた500種類のPC作業のうち、11種類にRPAを適用してみた。NTTデータのWinActorを採用したうえで、業務部門の担当者が11種類のPC作業の自動化に挑んだ。

 トライアルではデータの加工、入出力、検索、メール送受信と、種類が異なるPC作業をあえて選んで自動化することで、社内業務に広くRPAが適用できるかどうかを確かめた。「Excelやグループウエア、Web、事務オンラインシステムなど様々なアプリケーションやシステムがRPAツールで問題なく操作できるかどうかも、トライアルでみていった」(上田課長)。その結果、「WinActorは開発画面でフローチャートを作りながら開発できるので理解しやすい」といったことを含めて、社内展開ができると確かめられたという。