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NECグループの間接業務を担うNECマネジメントパートナーは数年後に予想される人手不足に備えてRPAの導入に着手。1年あまりで年20万時間のPC作業を自動化できた。

 あと数年もたつと社員の多くが定年退職していき、深刻な人手不足に陥る。それに備えてオフィス現場の業務を今から改善して生産性を高めよう――。こうした方針を掲げてRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入を進めているのが、NECの子会社でグループ各社の間接業務を担うNECマネジメントパートナーだ。2018年4月からRPAの社内導入を本格化したところ、年20万時間のPC作業を自動化する成果を得た。

 2014年設立の同社には経理、人事、資材、営業、ITといった事業部が社内にあり、各事業部がグループ会社から関連業務を請け負っている。RPAはまず2016年に「決算発表時期の前後にPC作業の負担が増す」といった課題があった経理事業部門の現場へ試験導入した。

 NECマネジメントパートナーでRPAの導入推進を手掛けてきた滝本浩史プロセス・IT統括事業部RPA推進センターシニアマネージャーは「経理事業部門の試験導入でかなりの効率化が図れた。全社に向けてRPAの導入を進めることにした」と説明する。

 2017年4月からの1年はRPAの推進体制作りを進めた。このなかで「RPAのソフトウエアのロボット(ソフトロボ)に業務担当者のユーザーIDとパスワードを与えて社内システムを操作させると、なりすましが起こりかねない。ソフトロボ専用のユーザーIDとパスワードを付与して操作させるようにしよう」といった、セキュリティー対策を含めたRPAの開発運用ルール作りも進めた。

RPAの社内導入に向けたNECマネジメントパートナーの動き
RPAの社内導入に向けたNECマネジメントパートナーの動き
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 本格的に社内の普及を始めたのは2018年4月からだ。各事業部が進めるRPAの導入を支援する「RPA推進センター」を立ち上げた。同センターはそれまで社内で広く使われているExcelのマクロ機能を使ってPC作業の自動化を進めてきたグループを母体にする。

 RPA推進センターは主に「RPAの開発運用環境の一元管理」「事業部から出てきたRPA開発案件の受け付けと審査」「複数の開発案件で得られたノウハウの蓄積や共有」の3つの役割を担う。

 このうち開発案件の受け付けと審査は、RPAのソフトロボの操作によって機密情報などが漏洩するといった事態を未然に防ぐことを狙う。ノウハウの蓄積や共有については「各事業部がRPAを開発していくうえで、同じような課題に直面して個別に解決するのは非効率」(滝本シニアマネージャー)なことから、RPA推進センターの担当者が事業部に対してRPAの導入コンサルティングを実施。そこで得た開発ノウハウを蓄積して、効率良く開発できるようにしている。

現場型と直下型の2つのアプローチで推進

 NECマネジメントパートナーは社内普及を進めるうえで、2つの工夫を凝らした。1つは各事業部の現場で進められてきた業務改善活動に関連させてRPAの普及を図ったことだ。各事業部にはリーンシックスシグマと呼ぶ手法を使った業務改善活動が定着している。そこでRPA推進センターは「Excelマクロの活用や社内システムの変更と同じく、RPAは業務改善手段の1つです」と訴求した。

 もう1つの工夫は、業務担当者が業務改善活動を通してRPAを適用していく「現場型」のアプローチに加えて、社長直轄プロジェクトを立ち上げてBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)をしながらRPAを導入していく「直下型」アプローチを採ったことだ。社長直轄プロジェクトは2018年6月に立ち上げた。「大きな効果をより早く得る」(滝本シニアマネージャー)ことが狙いだ。