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RPAの検証もかねてまずは情報システム部門で使ってみよう。そう考えていた矢先、業務部門から導入要請を受けて成果を出したのが村田製作所だ。

 ここ最近RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)というキーワードを目にすることが増えた。業務改善の道具として役立ちそうだ。まずは検証をかねてシステム部門内の仕事から改善しよう――。そう考えた情報システム部門が導入準備を進めていたところ、工場部門からRPAの導入要請が届き、大がかりなRPA開発プロジェクトを立ち上げることになったのが、電子部品のセラミックコンデンサーなどを手掛ける村田製作所だ。2017年春のことである。

 今でこそ年3万4000時間以上のPC作業を自動化する成果を得る村田製作所だが、当時はRPAの検証段階だった。検証を担当していたのは、情報技術企画部情報技術・品質保証課だった。従来は基幹系システムのインフラ整備やプログラムの開発などを手掛けてきたが、RPAの導入も担当することになった。

 村田製作所の久保誠二情報技術企画部情報技術・品質保証課シニアマネージャーは「当初はRPAがどのようなものかをつかむため、情報システム部門内の業務の改善から取り組もうと考えていた」と当時を振り返る。

RPAの導入着手早々に工場部門から要請が

 ところが業務改革推進部門と連携してRPAの導入を社内で始めようとしていたとき、工場部門から「RPAを導入したい」というニーズが寄せられた。工場部門の業務担当者は主力製品である電子部品などについて、営業担当者からいつ、どれだけの製品を顧客に納入できるのかといった問い合わせを受け付けている。電子部品のニーズの高まりで、工場部門の現場ではその問い合わせ応対をする納期調整業務の量が急増していた。

 この納期調整業務はメールのやり取りや基幹系システムの検索など、工場の業務担当者がPCで進める。当時、約10人が担当していたが、一連のPC作業をRPAで自動化できないかというニーズが、工場の現場から上がってきたのである。

 そこで全社に向けた導入推進と並行して、工場の納期調整業務を自動化するRPA開発プロジェクトがスタートした。処理内容が複雑だったこともあり、コンサルティング会社の協力も得ながら、半年ほどかけて一連のPC作業を自動化するRPAのソフトウエアロボット(ソフトロボ)を開発し稼働させた。

 このソフトロボで担当者約5人分のPC作業を自動化できるようになった。5人分の作業を自動化できたことで、それまでの担当者は納期調整業務以外の、本来の業務に専念できるようになった。

最初のソフトロボで担当者5人分の作業を自動化

 こうした成果を追い風に、村田製作所はRPAの本格導入に着手した。情報システム部門内で、RPAをはじめとするデジタル技術の普及を担う部署と、業務改革を推進する部署が連携して、CoE(センター・オブ・エクセレンス)と呼ぶRPA専門の推進組織を結成。BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)をしながらRPAを適用していくことを目指した。

 CoEはRPAの開発スキルを蓄積したり、開発ルールや教育の体制を作ったりするミッションを担う。特に力を入れているのが教育体制の整備だ。「RPAは複数のアプリケーションを組み合わせて進める業務担当者のPC作業の自動化に向く。こうしたRPAの特徴を踏まえて、基本的には業務担当者にRPA開発をしてもらうことにした」と、小笹和宏情報技術企画部情報技術・品質保証課マネージャーは話す。

RPA普及に向けて作成した開発ガイドラインの項目の一部
RPA普及に向けて作成した開発ガイドラインの項目の一部
(出所:村田製作所)
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