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損害保険ジャパン日本興亜はオフィスワークの棚卸しの結果、どうしてもやめられないと分かったPC作業にRPAを適用してきた。ある工夫を凝らすことで年53万時間以上のPC作業を自動化している。

 2017年11月、PC作業をソフトウエアのロボット(ソフトロボ)で自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入を始めてから2019年夏までに年53万時間分のPC作業を自動化――。損害保険ジャパン日本興亜はこのような成果を得た。

 損保ジャパン日本興亜がRPAの導入に乗り出したのは、2017年度から全社規模で「ゼロベースの仕事の棚卸し」を始めたことが大きい。オフィスワークの生産性向上などを狙った取り組みである。これまで社員がオフィスで取り組んでいた仕事を棚卸ししたうえで、「やめる」「組み替える」といった措置を講じていった。

 しかしやめられない仕事も少なくない。そこで「やめられない仕事を効率化する手段の1つとしてRPAを導入することにした」と損害保険ジャパン日本興亜の業務改革推進部企画グループの宮田康宏特命課長は話す。ソフトロボはRPAツールで、PC作業のフロー図をマウス操作で設定していくことで開発していく。そこで同社はRPAの適用を機に、それまで属人的だったPC作業の業務フローを明確化。「この社員しかこのPC作業を知らない」といった状況をなくすことも目指した。

システム改修の代わりの手段としてもRPAに着目

 RPAの導入にはもう1つ、基幹系システムの刷新プロジェクトが進行中で、開発者やIT予算を既存のシステム改修へ十分に振り向けられないという背景もあった。「システム改修の代わりにRPAという新技術を活用することで、業務を効率化する」(宮田特命課長)ことも狙う。

 RPAの導入に向けた準備は2017年夏に始めた。社内からRPAで自動化したい業務を募集したところ、400件もの案件が集まった。これらの内容を確認したうえで、当初はこのうちRPAに向く100件について適用していくことにした。

 2018年4月には新部署「業務改革推進部」が立ち上がり、RPAの普及も担当することになった。業務改革推進部には営業部門や保険金部門、IT部門など様々な部門から社員が集結した。従来の仕事のやり方にとらわれない発想を出して業務改革を進めることがその狙いだ。

 業務改革推進部が改革で活用するITもRPAに限定していない。「Excel操作を自動化する機能であるマクロ、AI(人工知能)を組み込んだOCR(光学的文字認識)であるAI OCRなどを使い分けている」と業務改革推進部企画グループの篠田香理課長代理は話す。

 RPAツールは米ユーアイパスの「UiPath」を採用した。2017年度に社内のデジタル関連部門がPoC(概念実証)を行い、「社内で利用している様々なシステムを操作するソフトロボを開発できる」「ソフトロボをPCだけでなくサーバーでも稼働でき、ソフトロボを一元管理しやすい」といった理由から、UiPathの採用を決めた。

総務部門の1種類の作業だけで年3万8000時間分を自動化

 損保ジャパン日本興亜がRPAで自動化したPC作業は多岐にわたる。このうち、転勤が決まった社員に社宅が必要かどうかを判断する総務部門のPC作業にRPAを適用したところ、年3万8000時間分、自動化できた。この作業のピークは毎年3月と9月の年2回で、判断対象の社員は1回当たり5000人から6000人に上る。

 従来は、北海道や東北など全国各地区を統括する本部の総務部門の担当者が、本部内の社員が提出した申請書の内容を、1件ずつ確認していた。そこでまず各本部で実施していたこの仕事を、本社の総務部門が引き受けたうえで、RPAを適用することにした。

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