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キリンホールディングスは年1万4000時間分のPC作業をRPAで自動化している。業務システムに新機能を追加する代わりにRPAを活用することで、システム開発コストを大きく節約した。

 社員が日々行っているPC作業を自動化するのにRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を適用するのはいわば王道の使い方だ。それに加えて新たなRPAの活用策も模索していこう――。こんなスタンスでグループ各社に向けてRPAを導入しているのがキリンホールディングス(HD)だ。これまでに年1万4000時間分のPC作業を自動化する成果を得ている。

 RPAは2017年5月、グループ各社の人事や経理業務を担うキリンビジネスエキスパートでまず導入を始めた。同社内の会議予約システムからデータをダウンロードして部署ごとに予約状況などを集計するPC作業の自動化に成功。「RPAは幅広く活用できそうだと分かり、グループ全体で導入に取り組むことにした」とキリンHDの小鹿幸治情報戦略部主査は話す。

 2018年1月からは、多種多様なPC作業でRPAを適用できるかどうかを試すことにした。社員が手作業で進めていたPC作業を自動化するといった「王道」とも言えるRPAの活用策だけでなく、「これまでのシステム開発よりも早く安くできる手段としてRPAを活用できないか」(小鹿主査)と、新たな活用策も試した。

 システムの稼働後に新しい機能が必要になったとき、「追加開発する」という従来の策に代わって、「システムには手を入れずに、RPAで新しい機能を代行させる」ことができないかと考えたわけである。

2018年の試験導入で確かめたRPAの2つの活用策
2018年の試験導入で確かめたRPAの2つの活用策
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 試験導入の一環として、社内システムからデータをダウンロードして業務に必要な帳票を作成するRPAのソフトウエアのロボット(ソフトロボ)を開発した。RPAが業務システムからダウンロードしたデータをExcelに入力して帳票を作る。RPAとExcelマクロの組み合わせで作業を自動化した。

 その結果、新しい帳票を作成する機能を業務システムに追加することなく、RPAで同等の機能を実現できた。あるケースでは追加開発をする場合に比べて、コストは8割削減し、開発期間は約半分に抑えることもできた。

 このときRPAで自動化した処理のなかには、費用対効果が見込めないといった理由で、システムの追加開発を見送ってきたものもあった。「業務部門の担当者に協力してもらって試行したところ、RPAが適用できることが分かった」(小鹿主査)。以後、システム開発の代わりにRPAで開発することも続けているという。

 ただしRPAをシステム開発の代わりに活用する場合、「RPAはちょっとしたことで動きが止まる」という課題もあると分かった。一般にRPAを適用すると、操作対象のシステム画面が立ち上がる前に、ソフトロボが画面に対する処理を始めてしまってうまくいかず、エラーが発生するといったことが起こりえる。

 そこでRPAをシステム開発の代わりに活用する場合には、業務担当者にあらかじめ「RPAで自動化する処理は、途中で止まっても業務上許容できるかどうか」を見極めてもらい、許容できるものについてRPAを適用することにした。適用する場合は「万が一RPAの処理が止まっても、業務担当者が手作業で行うなどの代替手段を用意しておく」ことに了承してもらったうえで、RPAの開発を始めるようにしている。

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