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※本記事は、『日経エレクトロニクス』2019年1月号に掲載された記事を再構成・転載したものです。記事中の肩書きや情報は掲載当時のものです。

 オムロンは、研究開発に特化した新会社「オムロン サイニックエックス(OSX)」を設立し、2018年4月26日に本格始動させた(図1)。その主な役割は、研究開発の根拠となる「近未来デザイン」の確立だ。

図1 近未来デザインを確立
図1 近未来デザインを確立
OSXには、近未来デザインを議論するためのオープンスペースや、ロボットなどの開発が可能な工房を設けた。(写真:新関雅士)
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 OSXの代表取締役社長を務める諏訪正樹氏によれば、近未来デザインとは技術や製品を社会実装したときのイメージであり、それを実現するための事業アーキテクチャーの設計も含むという(図2)。この近未来デザインが、これから開発すべき技術や製品を考える上での“道しるべ”となる。

図2 未来から今開発すべき技術や製品を考える
図2 未来から今開発すべき技術や製品を考える
「バックキャスト」の考え方に基づいている。(OSXの資料を基に本誌が作成)
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 オムロンでは、創業者の立石一真氏が提唱した未来予測理論「SINIC(サイニック)理論」に基づいて各事業部門が個別に近未来を洞察し、技術開発や製品企画に役立ててきた。OSXは、ある意味でこの未来予測に特化した組織ともいえる。

 OSXの近未来デザインも、基本的にはサイニック理論を踏襲したものである。それでもOSXとして別会社化したのは、既存事業やオムロンという企業の枠を超えて、新しい事業アーキテクチャーを考えるためだ。事業部門の未来予測は、「どうしても既存事業の延長線でしか考えられない面がある」と諏訪氏は語る。

 OSXで扱うテーマは、AI(人工知能)やIoT、ロボティクス、センシングなどである。オムロンは人と機械が混在するようなシチュエーションを自社の事業領域と考えており、これらの技術はいずれも同社の事業領域を大きく左右する可能性を秘めたものだ。その際、既存事業の延長線でこれらの技術の研究開発に取り組むと、将来を見誤る恐れがある。

 だからこそ、OSXではその枠を超えた事業アーキテクチャーを設計しようとしている。「その事業アーキテクチャーは、オムロンの単独事業である必要はない」(諏訪氏)。むしろ、単独事業であることに固執することでの機会損失の方が大きいと同氏は見ている。

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