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1巡目の点検・診断が終わり、補修がいよいよ本格化する。心配なのは建設コンサルタント会社や地元の建設会社に適切な補修設計・施工ができるかどうかだ。補修設計を誤って、再劣化が生じた橋は少なくない。発注者自身の研さんも必要だが、民間企業側も補修に対する正確な知識や技術を身に付けなければならない。

 各地で生じている再劣化の一例を、橋梁メンテナンス技術研究所とリペア会の協力の下、紹介する。

 まずは鉄筋コンクリート(RC)床版の再劣化だ。写真1を見てほしい。2019年6月、ある県が実施している舗装と床版の断面修復の工事現場で舗装を剥いだ場面だ。足で踏み付けると床版から泡が出る状態であり、水の浸入と疲労などの複合劣化による「土砂化」が進行していた。

写真1■ 床版の補修工事の現場。舗装を剥がした段階で、雨が降った後に床版を足で踏むと泡が出てきた(写真:橋梁メンテナンス技術研究所)
写真1■ 床版の補修工事の現場。舗装を剥がした段階で、雨が降った後に床版を足で踏むと泡が出てきた(写真:橋梁メンテナンス技術研究所)
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 1977年に竣工した橋で、橋長は46m、幅員は9.2mだ。凍結防止剤を散布する路線で、大型車の交通量も多い。11年の外観調査では、舗装に多くのひび割れや補修跡が確認されていた。

 県は12年に橋面を防水して断面修復する補修工事を発注。翌13年には床版下面のひび割れ注入、炭素繊維の格子張りといった補修工事を発注した。それから5年がたち、再度劣化が見られたために、県は新たに冒頭の断面修復の工事を発注した。

 問題は12年の補修工事で、劣化の激しいRC床版を下面まではつって、断面修復した点にある。この橋梁の構造形式は、RC床版と鋼桁をスタッドジベルで結合する合成桁だった(写真2)。

写真2■ 下から見た橋梁。下フランジが上に比べて広い。桁高を支間長で割った数値は、25分の1~20分の1程度とスレンダーだ。日本橋梁建設協会のデザインデータブックによると、非合成桁の多くは支間長に対する桁高の割合が20分の1~15分の1程度。現地で構造形式を推定できた可能性がある(写真:橋梁メンテナンス技術研究所)
写真2■ 下から見た橋梁。下フランジが上に比べて広い。桁高を支間長で割った数値は、25分の1~20分の1程度とスレンダーだ。日本橋梁建設協会のデザインデータブックによると、非合成桁の多くは支間長に対する桁高の割合が20分の1~15分の1程度。現地で構造形式を推定できた可能性がある(写真:橋梁メンテナンス技術研究所)
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 現場を見た橋梁メンテナンス技術研究所の月原光昭理事は、「様々な荷重に対して一体で動くように合成した桁のため、非合成桁を補修するのと同様に床版を切断して安易にパッチングすることは非常に危険だ」と強調する。

 床版と鋼桁が別々に挙動するようになった結果、たわみが増えて、早期に再劣化を引き起こしたとみられる。橋梁構造に対する知識の不足が招いた。