「あれ、チップがない……」
米テスラ(Tesla)の電気自動車(EV)「モデル3」の分解を進めていたメンバーが声を上げた(分解記事の一覧)。その手には、運転支援機能「オートパイロット(Autopilot)」の中核センサーである3眼カメラがあった(図1、2)。
Teslaは、前方監視カメラモジュールの常識を破った。モデル3のカメラには、3組のCMOSイメージセンサーとレンズしかなかったのである。
日産やBMWはMobileyeを採用
車両前方の状況を把握するカメラは通常、CMOSイメージセンサーと画像処理チップを1つのモジュールに内蔵している。CMOSイメージセンサーで取得したデータをモジュール内のチップで処理し、分析した結果のみを外部のADAS(先進運転支援システム)用ECU(電子制御ユニット)に伝える。
Teslaの他に、3眼カメラを積極的に採用するのが日産自動車とドイツBMWである。両社が採用する3眼カメラモジュールはドイツZF製で、3個のCMOSイメージセンサーと1個の画像処理チップを内蔵する(図3、4)。画像処理チップはイスラエル・モービルアイ(Mobileye)の最新版「EyeQ4」だ。
車載向けの3眼カメラを量産している部品メーカーは、今のところZF以外にない。普通に考えれば、TeslaもMobileyeのEyeQ4を内蔵したカメラを選ぶことになる。だが、TeslaとMobileye間には遺恨が存在する。