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 「楕円だ。地味にすごいですよ、これ」

 米テスラ(Tesla)の電気自動車「モデル3」のインバーターを分解していた技術者が“異変”に気付いた。インバーターに内蔵するパワー半導体を冷却する棒状のフィンが、「車載向けでは今までに見たことがない断面」(同技術者)だったのだ(図1、2)。

図1 モデル3のインバーターの冷却機構
図1 モデル3のインバーターの冷却機構
(撮影:日経Automotive)
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図2 冷却用のフィンが並ぶ
図2 冷却用のフィンが並ぶ
断面は楕円で、切削加工で削り出している。(撮影:日経Automotive)
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 一見すると、パソコンなどの民生機器にも使わるような普通のヒートシンクである。だが、細かく分析すると、Teslaの放熱への本気度が込められていた。しかも、水冷だけでなく、油冷でもインバーターを“ダブル冷却”する機構の存在も分解で明らかになった。

日産も円筒の放熱フィンを採用

 モデル3のインバーターに搭載したフィンは、切削加工で削り出していることが分かった。フィンの長さは10mm以上と高い。しかも、冷却機構の隅に配置したフィンは、1本ずつ方向を変えていた。

 比較のために分解したTeslaの高級セダン「モデルS」のパワー半導体には、長さが3mm程度で四角形のヒートシンクが均等に並んでいる(図3)。鋳造品とみられる。

図3 モデルSのインバーターの冷却機構
図3 モデルSのインバーターの冷却機構
(撮影:日経Automotive)
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 円筒のフィンをインバーターの冷却に用いた例としては、日産自動車のEV「リーフ」やシリーズ・ハイブリッド・システム「e-POWER」の搭載車などがある(図4)。フィンの断面は真円で、高さは5mm程度。均一に並べられている。

図4 水冷用のヒートシンクに水を当てて冷却
図4 水冷用のヒートシンクに水を当てて冷却
パワーモジュールとモーター制御基板を内蔵していた。パワーモジュールは冷却機構を強化して大電流を流せるようにしている。図は日経Automotiveが作成。
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 コストや加工時間が跳ね上がるのを覚悟の上で、なぜTeslaは削り出しのヒートシンクを採用したのか。

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