全4904文字
PR

 これまではテレビ局のような専用設備がなくては実現できなかった大規模な聴衆に向けてのライブ中継が、個人にもできてしまう未来が近づいている。

 既に4Kに対応したビデオカメラは最も安いもので数万円で入手できるほど低価格化が進んでいるほか、映像を数秒などと非常に短い遅延で数万人に配信するクラウドやCDN(Content Delivery Network)のサービスも登場している。テレビ局が放送の“最後の聖域”としてきた、スポーツのライブ中継の壁が崩れつつある。

 こうした未来の実現に必要な最後のピースが「映像の制作環境」である。撮影対象に合わせて、カメラワークを変えたり、配信するカメラを切り替えて映像を編集したり、ある時はCGやテロップなどを映像に重ねたり・・・。こうした機能でさえも、“ワンオペ”などで低コスト化する技術が続々と登場している。

 パナソニックが2019年11月に開催された「2019年国際放送機器展(Inter BEE 2019)」で、展示の目玉に据えた「高効率撮影システム」はその象徴例だ。ブース内にパラリンピック競技「ボッチャ」のコートを設置し、試合の様子を大型ビジョンに映し出した。一見すると通常のスポーツ中継とそう変わらないが、舞台裏では最新のテクノロジーを活用しながら映像制作を低コスト化するシステムが稼働していた。同システムのマーケティングを担当する、パナソニックの内田貴士氏(同社 コネクティッドソリューションズ社 メディアエンターテインメント事業部 マーケティングセンター 戦略プロジェクト担当)は「コストは従来の1/3~1/2」と語る。

 今回の高効率撮影システムはスタジアムやアリーナの施設運営者、スポーツ団体・チーム、音楽ライブの映像制作現場などに向けた技術。放送用機器大手のパナソニックがInter BEEで、あえて放送局ではなく、これからの新規ユーザーに向けた技術を披露したことは注目に値する。

パナソニックが2019年11月に開催された「2019年国際放送機器展(Inter BEE 2019)」で、展示の目玉に据えた「高効率撮影システム」。パラリンピック競技のボッチャを題材にした
パナソニックが2019年11月に開催された「2019年国際放送機器展(Inter BEE 2019)」で、展示の目玉に据えた「高効率撮影システム」。パラリンピック競技のボッチャを題材にした
(写真:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]