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 イタンジ(東京・港)が部屋探しサイト「OHEYAGO(オヘヤゴー)」を開設したのは2019年9月。その翌月から国土交通省が賃貸契約に関連する規制緩和に向けた社会実験を開始した。イタンジはこの社会実験を好機とみて、OHEYAGOをリリースした。同社代表取締役の野口真平氏は、電子申し込み市場のシェア獲得に全力を注ぎ、その結果に手応えを感じている。

普及のスピード感が全く違う

イタンジ代表取締役の野口真平氏(写真:都築 雅人)
イタンジ代表取締役の野口真平氏(写真:都築 雅人)
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国交省が規制緩和に向けた社会実験を19年に実施しました。このことは、不動産業界のIT活用に影響を及ぼしますか。

 不動産業界の規制緩和への期待感は非常に大きいと感じています。17年10月から解禁されたIT重説(不動産取引の際に必要な重要事項説明(重説)をテレビ電話などのITを活用して行うこと)からの規制緩和の流れで、重説の書類や契約書が電子化され、いずれ対面でなく契約が交わせるようになるという期待感が大きい。当社の業務支援システム「CloudChintAI(クラウドチンタイ)」の一部である「申込受付くん」を導入している会社は、電子契約を見越しています。

 「申込受付くん」は18年に発売して20年1月までに導入社数136社を集めました。18年内は10件程度でしたが、19年に入って急速に件数を増やしました。その勢いは今も続いています。今までの業務支援サービスの普及と、スピード感が全く違う。

 不動産会社が導入に積極的な理由は、規制緩和が見えたからだと分析しています。電子申し込みのアイデアは以前からありましたが、数年前に国交省が賃貸契約の書面を電子化するという噂が立ち始めました。その後、19年に社会実験が実施されました。まだ法律が改正されたわけではありませんので期待感だけですが、電子契約が導入されれば、申し込み段階から電子化することが求められます。それに対応するサービスが「申込受付くん」です。

 電子申し込みの市場を取り切ろうと考えて、「申込受付くん」に全力で取り組みました。特に力を入れたのは、賃貸契約の保証会社との連携です。賃貸保証と賃貸契約の申込書はセットになっています。賃貸契約書だけ電子化しても、賃貸保証の申込書を紙で書き直していたら業務の効率化になりません。

 保証会社には、データを渡すから審査結果をシステムで戻してほしいと交渉しました。最初の1社から了解を得るのに1年くらいかかりました。大手の管理会社も必要としていると説明しました。保証会社にとって管理会社は重要なビジネスパートナーですから、その意向は無視できません。賃貸保証申込書の電子化は、彼らにとってもメリットがあります。データで届けば入力コストが無くせるからです。こうした交渉を繰り返し、現在では約50社が電子化に対応してくれています。