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 不動産情報サイトの空室情報に課題があるとの問題意識から、不動産テック企業のイタンジ(東京・港)は、部屋探しサイト「OHEYAGO(オヘヤゴー)」を開設した。リアルタイムな物件情報を基にウェブ上から物件の内見予約や入居申し込みを可能にしている。同社代表取締役の野口真平氏にこれまで4回にわたってインタビューしてきたが、最終回としてOHEYAGOの独自性や強みを整理しつつ、賃貸住宅市場への影響について解説する。

賃貸物件をその場で内見予約可能に

OHEYAGO(スマホ版)のトップページ(資料:イタンジ)
OHEYAGO(スマホ版)のトップページ(資料:イタンジ)
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 賃貸住宅を探している入居希望者にとって、「空室状況の問い合わせ」は面倒ごとの1つ。不動産ポータルサイトや仲介会社のウェブサイトで気になる物件を見つけても、電話などで仲介会社に空室かをわざわざ問い合わせなくてはならず、確認の手間や時間がかかるからだ。折よく空室であれば内見申し込みなど次のステップに進めるが、既に申し込み済みであれば徒労となり、再度、物件を探さなくてはならない。なかには来店しないと情報を教えないといった、囲い込み目的の会社もあったりするから面倒だ。

 そんな手間が当たり前ななか、イタンジの部屋探しサイトOHEYAGOは、掲載物件全てが入居可であることを担保し、しかも気に入った物件を見つけたらその場で内見予約できるスピーディーさを売りにしたサービスで注目を集めている。さらに、内見は不動産仲介会社の同行なしに行え、1人で室内を思う存分チェックできる。

“鮮度の低い情報”が流通する弊害

 入居希望者がウェブなどで目にする賃貸物件情報のほとんどは、残念ながらリアルタイムな情報ではない。不動産業界の中に、プロ(不動産会社)のみが閲覧可能なオンラインシステムがあり、ここに賃貸オーナーから委託された不動産管理会社が情報をアップする。それらの物件群から、入居者を見つける不動産仲介会社が自社で取り扱いやすい賃貸物件をピックアップしているのだ。つまり、プロ向けサイトからの「転載情報」というわけだ。

 プロ向けサイト上の情報は現状、空室状況や成約などの情報についてリアルタイムに更新されていない。管理会社が情報更新しても、仲介会社の転載した情報が連動する仕様にもなっていない。入居希望者が目にする物件情報は既に他者が契約しているかもしれない、“鮮度の低い情報”ともいえる。

 こうしたタイムラグのある仕組みで運営されているため、入居希望者からの問い合わせを受けた仲介会社は管理会社に最新情報を確認する手順を踏まなくてはならず、時間と手間をかけるのが当たり前になっている。入居希望者にとってだけでなく、管理会社・仲介会社双方の不動産会社にとっても非効率でストレスのたまる仕組みとなっている。

掲載物件の空室を担保するOHEYAGO

OHEYAGOの内見予約ページ。入居検討者がウェブ上で直接予約申し込みできる(資料:イタンジ)
OHEYAGOの内見予約ページ。入居検討者がウェブ上で直接予約申し込みできる(資料:イタンジ)
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 対してOHEYAGOは、掲載物件全て、空き室であることが担保されている。掲載内容について、管理会社の保有する情報をダイレクトに反映させているためだ。

 イタンジは管理会社向けに業務支援システム「Cloud ChintAI(クラウドチンタイ)」を提供している。その中の1つ、「ぶっかくん」は、多くの仲介会社からの物件確認(物確)の問い合わせを自動化し、管理会社の対応を省力化している。募集状況、入居可能日、内見方法などについて24時間対応で自動アナウンスするため、夜間や定休日といった営業時間外でも迅速な情報提供を可能にしている。また、問い合わせ内容についてもデータを蓄積している。煩雑な電話対応をする必要がなくなるため、管理会社は物件の正確な情報をタイムリーに入力してくれる。

 また「内見予約くん」は、内見の予約をウェブ上で管理できるサービスだ。よそで契約が決まればサイト掲示も止まるため、こちらの情報もリアルタイムといえる。そもそもは管理会社が仲介会社向けに情報開示していた内見予約管理機能を、OHEYAGOではエンドユーザー向けに広げた格好だ。つまり、これまでBtoBに使用していた機能の用途を拡張することで、BtoCの新規サービスとして昇華させたわけだ。

 こうした運用方法によって、入居希望者は確実に入居可能な物件の中から選択でき、希望すればその場で内見を予約できる。内見が不要なら入居申し込みも可能だ。イタンジは、OHEYAGOサイトの運営においては自らが仲介会社となっている。スマートに賃貸物件探しをしたい入居希望者にとって、こうした正確な空室情報や手順の簡略化、スピーディーさは、これまでなかった高い利便性と受け止められるに違いない。