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 賃貸リノベーションの全国ブランドとして、500超のフランチャイズチェーン(FC)加盟店を集める「Renotta(リノッタ)」。開発・運営するクラスコ(金沢市)は、IT(情報技術)やAI(人工知能)などを駆使し、不動産会社や賃貸オーナー向けのサービスを次々と打ち出している。これらのサービスをまとめた総合ソリューション「TATSUJIN」は、会員企業の業務効率や生産性向上のみならず、ビジネスの慣習を変える勢いだ。クラスコグループ代表の小村典弘氏にこれまで4回にわたってインタビューしてきたが、最終回として、TATSUJINの主要サービスを振り返りながら、今後の賃貸不動産業界が向かう先について探った。

デザインで問題を解決する

クラスコを全国区の不動産会社へと押し上げたリノベーション賃貸ブランド「リノッタ」のデザイン例。「一戸一絵」をスローガンに、改装する部屋1つ1つにコンセプトを設け、ライフスタイルを明確にしたデザイン空間を提供。改修された物件は5000室近くに上る(資料:クラスコ)
クラスコを全国区の不動産会社へと押し上げたリノベーション賃貸ブランド「リノッタ」のデザイン例。「一戸一絵」をスローガンに、改装する部屋1つ1つにコンセプトを設け、ライフスタイルを明確にしたデザイン空間を提供。改修された物件は5000室近くに上る(資料:クラスコ)
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 クラスコの「TATSUJIN」を語る前に、まず同社の主力サービスである賃貸リノベーションブランド「Renotta(リノッタ)」について解説しておきたい。

 多くの賃貸オーナーに共通する悩みの1つが、「物件が老朽化してきたため空室率が高まっているが、改善策が分からない」というもの。人口減少が進む現在にあって新築物件が供給され続ける賃貸住宅市場では、近年、空室率の上昇が社会問題化している。一方で全国の賃貸物件の約57%が築20年を超え、こうした老朽物件の競争力が急速に低下している。

 空室の目立つ築古物件を抱えるオーナーに、クラスコが2009年に提案したのが「リノッタ」である。デザインとカラーをキーワードに、少額のリノベーションで築古物件を再生する。新築にない魅力的な空間としてユーザーの支持を得て、築古でも人気物件へと変貌した。結果、成約までの期間の短縮や賃料の上昇、長期入居などが実現し、競争力を回復していった。

 自社でのリノッタ活用に手応えを感じたクラスコは、2012年に全国でFC化を果たす。地域の不動産会社の物件改善力を高める一助となった。今や加盟店舗数500超、導入事例は約5000室を数えるまでに至った。デザインパターンも400以上に達し、今なお新規デザインを提供し続けている。

 「立地は変えられないが、デザインは変えられる」。クラスコグループ代表の小村典弘氏は、築古物件でも改善の余地が十分にあると強調する。競争力の落ちた賃貸物件の集客方法は、賃料を下げる、敷金・礼金の減額(あるいはゼロ)、フリーレントサービスなどだが、そうした“後ろ向き”な対応でなく、リノベーションによる積極的な再生によって賃貸経営の収益性を高められると、リノッタの攻めの改善手法に自信をのぞかせる。