東京から始まった「OYO LIFE」は半年で全国展開を見据え中京・関西圏でもサービスを始め、法人対応も開始した。事業を拡大する中で、どのような戦略を練っているのか。「OYO LIFE」を運営するOYO TECHNOLOGY&HOSPITALITY JAPAN最高経営責任者(CEO)の勝瀬博則氏は「必要なサービスはユーザーに聞く」とシンプルに答える
地方や法人との親和性は高い
2019年3月、東京都の主要6区(渋谷区、目黒区、新宿区、中央区、文京区、千代田区)からスタートしたOYO LIFEのサービスですが、その後に首都圏1都3県へ拡大し、10月から11月にかけて名古屋、大阪、京都、神戸と中京・関西圏でもサービスを開始しました。スタートは好調のように見えます。
保有する物件数などの数字は示せないのですが、おかげさまで首都圏はなんとか認知されている感じです。地方の入居募集はこれからですが、オーナーの反響を見る限り、手応えを感じています。
OYO LIFEのスキームは、地方でより効果を発揮すると思っています。全国で空き家問題が深刻になっていますが、より深刻なのは都心より地方です。人口減少も、都心より地方のほうが顕著かつ深刻です。
我々のようなビジネスは、供給過多の状況下でこそ強みを発揮できる。賃貸住宅が不足している時代は建てれば借りられるので大家さんの力が強く、我々は必要とされません。供給過多で空室率が高いのは、地方です。地方のストックを使って、空き家問題や人口減少問題、移住支援といった地方が抱える課題の解決にも役立ちたいと考えます。
19年6月から法人向けサービス「OYO LIFE Biz」も開始されました。社宅や転勤対応など、OYO LIFEの提供サービスは、個人よりむしろ企業のほうが親和性は高いのではないでしょうか。
企業には社員や単身赴任や転勤社員の住宅手配のほか、出張社員や海外スタッフの受け皿なども必要です。住宅の用意は社員の企業定着に有効ですが、社宅や寮を自社で持つと相応のコストがかかり、リスクも生じます。マンションを1棟借り上げるような企業もありますが、空室が出てもコストは削減できません。OYO LIFEのような仕組みなら柔軟に対応できます。
多くの部屋を1社で借り上げてもらったほうが、収益性も安定するし、入居後のトラブルを最小化できるメリットにつながります。賃貸オーナーにとっても、20室を20人の個人相手に管理するのと、1社まとめてなのとでは管理負担が全く違います。