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 月額4万円で「全国住み放題」というサービス「ADDress」を打ち出したアドレス(東京・千代田)。拠点となる「ADDressの家」には「家守」が居る。単なる管理人にとどまらず、地域の魅力を利用者に紹介し、イベントを企画することもある。インタビューの3回目は、ADDressの魅力を高める「家守」について、アドレス代表取締役社長の佐別当隆志氏に聞いた。

アドレス代表取締役社長の佐別当隆志氏(写真:都築 雅人)
アドレス代表取締役社長の佐別当隆志氏(写真:都築 雅人)
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会員と地元の人をつなぐ「家守」

ADDress利用者の声を聞くと、全国の拠点を自由に利用できることに加え、拠点を管理している「家守」との交流を楽しみの1つに挙げる会員もいます。家守とはどのような存在なのでしょう。

 ADDressの家はただの賃貸スペースではありません。他の地域から訪れる人を、その地域の人々とつなげる場としても機能させています。その役目を担うのが「家守」です。全ての「ADDressの家」には家守が居て、会員の受け入れを管理するとともに、会員と家守、会員同士、会員と地域の人々といった、さまざまな接触の機会を創出しています。

多彩な顔ぶれの家守との会話や交流を目当てに地方の「ADDressの家」を訪れる会員も多い(資料:アドレス)
多彩な顔ぶれの家守との会話や交流を目当てに地方の「ADDressの家」を訪れる会員も多い(資料:アドレス)
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普通の管理人との違いはどのようなものでしょう。

 予約業務や会員の受け入れ対応、共用部の清掃といった通常の管理業務に加えて、家や地域の情報・魅力を発信したりイベントを開催したりするなど、コミュニティーづくりの活動に加わることです。家守が中心となってさまざまなイベントを企画し、地域との交流の機会やユニークなローカル体験、その地に暮らしているからこそ分かる情報を会員に提供していきます。家守は、地域の人や会員同士の交流の懸け橋となる、いわばコミュニティーのマネジャー的な存在です。

ADDressの家における家守の役割例。家守はADDressの家で会員の生活をサポートするコミュニティーマネジャー的な存在となる(資料:アドレス)
ADDressの家における家守の役割例。家守はADDressの家で会員の生活をサポートするコミュニティーマネジャー的な存在となる(資料:アドレス)
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住む場所の提供にとどまらず、イベント活動まで行っていくのはなぜでしょう。

 拠点をただ利用してもらうだけでなく、ADDressの会員にさまざまな出会いや体験を提供することが重要と考えているからです。会員にその地でしか味わえない関係を提供できれば、リピーターとしてまた訪れたくなる場所にできます。

 交通が不便な拠点だと、最初はあまり興味を持たれないんですが、その地域に面白い人がいれば少々不便でもそこに行こうという気にさせられる。家守をはじめとした、人の力は大きいです。

 会員がその地域や家守のファンになれば、リピーターとして再訪する場所になり得る。それが1回訪れるだけの観光旅行との大きな違いです。

左は陶芸家の家守の窯元で団欒(だんらん)する様子。右はADDressの家の家守と会員や地域の方々が参加した「菜園プロジェクトコミュニティ」の活動の様子(資料:アドレス)
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左は陶芸家の家守の窯元で団欒(だんらん)する様子。右はADDressの家の家守と会員や地域の方々が参加した「菜園プロジェクトコミュニティ」の活動の様子(資料:アドレス)
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左は陶芸家の家守の窯元で団欒(だんらん)する様子。右はADDressの家の家守と会員や地域の方々が参加した「菜園プロジェクトコミュニティ」の活動の様子(資料:アドレス)

定期的なイベント開催は家守にとって負担になりませんか。

 イベントは、特別なものでなくてもいいのです。一緒に畑作業をし、DIYで庭にウッドデッキをつくるような作業でも十分に楽しめる人はいます。ですので「ADDressの家」に共同の農園を持ち、毎週末に通うような会員もいらっしゃいます。

家守はその地域に住む人が務めるのですか。

 そうですね。なかには、建物のオーナー自身が家守を務めるケースもあります。それと、地元のキーマンが地域の空き家をリノベーションし、家守となるようなケースがありますね。別の地から移住する形をとり、新たな地元民として家守を務めるケースもありますが、地域を愛し、地域の魅力を発信するプレーヤーという意味では変わりありません。