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 月額4万円で、全国90余(宿泊施設の連携拠点を含む)の「ADDressの家」を自由に住み替えられる賃貸サブスクリプションサービス「ADDress」。コロナ禍で移動が制限される中で、会員減少の危機を迎えた。だが緊急事態宣言解除前後の5~6月ごろからは活動が活発になる。さらに、交通機関と連携し、会員の移動を促すサービスの立ち上げにも取り組む。インタビュー編の最終回は、同社代表取締役社長の佐別当隆志氏に、今なお日本中を覆うコロナ禍の影響と、今後の打開策について聞いた。

アドレス代表取締役社長の佐別当隆志氏(写真:都築 雅人)
アドレス代表取締役社長の佐別当隆志氏(写真:都築 雅人)
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オンラインでも進むコミュニティーづくり

冒頭、ステイホームなどによる気づきからADDressへの入会者が増えたという話をされましたが、コロナ発生時は当然逆風もあったわけですよね。どのような影響がありましたか。

 全国に非常事態宣言が出され、移動の自由を止められてしまったわけですから、当然影響は大きいものでした。一時的に予約受け付けを停止した拠点も多々ありましたし、4~6月あたりは休会制度を使って利用をスキップする会員もいました。稼働がいきなり止まってしまったわけです。

 部屋が4室あるなら2室を閉鎖するなど、会員の3密対策を実施したうえで、家守(通常の管理業務に加え、コミュニティーづくりの活動を行うマネジャー的な存在)との交流を制限するなどして再開していきました。家守主催のイベントやセミナーもオンラインにするなど、非接触の方法による開催になりました。

 また全国の家守同士がリモート会議などによって情報共有し、ノウハウの集約に努めました。人が動くことで起きるリスクを整理し、対策を取っていったわけです。アドレスの本部が発行するマニュアルもずいぶんとブラッシュアップされてきました。

会員にとって家守との交流は大きな魅力の1つですが、そこを制限せざるを得なかったわけですね。

 無人の受け入れ対応など、非対面化を進める対応も取りました。家守とのコミュニケーションを求めて利用する会員が多い中、こうした方法は取りたくなかったのですが、70~80代と高齢の家守もおり、会員と家守、どちらの安全性を確保するためにもそうした対応は必要でした。

 ただ、現地に行けなくてもオンラインでイベントに参加していただくなど、会員と家守の交流は活発です。移動を制限されている間もコミュニティーが深化していったのです。イベントサイトのメッセ上で「コロナ禍が落ち着いたら(ADDressの家を)訪ねるからね」などとレスポンスしてくれています。

Webでのオンラインセミナーも多彩なプログラムを用意(資料:アドレス)
Webでのオンラインセミナーも多彩なプログラムを用意(資料:アドレス)
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新規の拠点づくりへの影響はどうでしょう。

 現在、住宅街での新規拠点はつくりづらくなっています。近隣住人にとって、不特定多数の出入りがある施設に対しては不安を覚えるでしょうから。ただ、ADDressの家をつくりたいという新規の応募は十分あり、全くストップするということはありません。オンライン説明会は定期的に開いていますし、家守を希望するエントリーや問い合わせ者が300人以上にもなっています。

 その一方で、既存の宿泊施設からの提携申し出がきています。コロナ禍で本来の宿泊ビジネスが全く稼働しておらず、ホテルや旅館が1室から数室をADDressの家として提供してくれるようなケースです。先方にしてみたら、稼働率の低い時期ならリスクも少なく空き部屋にしておくよりよいのでは、と、まずは様子見なのかもしれませんが(笑)。

既存の宿泊施設がADDressの家に加わるメリットはどのようなものでしょう。

 拠点数が増えるだけでなく、バリエーションが多彩になることです。ロケーションがよく、スペースの広い部屋があるなど、ゆったりと過ごしたい会員にとっては大きな魅力になります。多くの宿泊施設がレストランや宴会場などを持っており、日中の仕事スペースも確保されています。仕事をしながらも休暇を取る「ワーケーション」の拠点としての満足度も高まるのではないでしょうか。

既存の宿泊施設との連携が増えている。ロケーションのよい都市型ホテルも参画しており、ADDressの人気ぶりが裏付けられる(資料:アドレス)
既存の宿泊施設との連携が増えている。ロケーションのよい都市型ホテルも参画しており、ADDressの人気ぶりが裏付けられる(資料:アドレス)
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