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 賃貸サブスクリプションサービス「ADDress」を打ち出したアドレス(東京・千代田)。当初フリーランスから火が付いたが、コロナ禍で多くの人が住環境を見直す契機となり、一般の人も注目するサービスとなってきた。ここでは、ADDressの仕組みを解説するとともに、賃貸の多拠点居住サービスがこれからの働き方や暮らし方をどう変えていくのかを考える。

働き方、暮らし方をもっと自由に

 ADDressは、敷金・礼金などの初期費用なしに、月額4万円(税別)で全国100余(2020年11月末時点)の拠点「ADDressの家」が住み放題となる。

 基本的なサービス内容はこうだ。会員は専用予約サイトを通じて全国のADDressの家を照会、予約できる。1つの家に連続して予約できるのは最大7日まで(最大14日まで延長可能)。滞在中の電気代やガス料金、水道代といった光熱費やネット回線料金も月額会費に含まれている。会員の同伴者(2親等または固定パートナー1人まで)であれば追加費用は要らず、夫婦やカップル、親子なら1人分の費用で利用できる。

「ADDressの家」の予約画面。入退会や予約管理等は全てオンライン上で管理されている(資料:アドレス)
「ADDressの家」の予約画面。入退会や予約管理等は全てオンライン上で管理されている(資料:アドレス)
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 ユニークなのは、オプションとして全国の拠点の1カ所に住民票を登録できるサービスを用意していること。会員になれば定住スポットが確保できるわけで、実際自宅を持たず、全国各地のADDressの家を移り住む“アドレスホッパー”もいる。当初の会員は、働き場所を自分で選べるフリーランスが多かったが、コロナ禍によって一般の人も大きな関心を示すようになった。

 ADDressを運営するアドレス(東京・千代田)代表取締役社長の佐別当隆志氏は、「リモートワークが広がったといっても、都心に通勤しなくてはならない人はまだまだ多いし、持ち家だと住み替えも簡単ではない。ADDressなら自宅はそのままに多拠点居住を実現でき、手軽に住環境を拡張できる」と、賃貸ならではの気軽さを説く。

 確かに別荘代わりに地方の拠点を低コストで利用できるのは、都心に暮らすビジネスマンから支持される理由になるだろう。ただ佐別当社長は、働く場、暮らす場を自在に変えられる「最先端のライフスタイルの提供」という視点で運営している。ADDressのメインターゲットは、「都会に疲れた」「田舎暮らしがしたい」という層ではない。「最先端のライフスタイルを実践したい」という人たちだ。

 「ADDressの利用を通じて、自分たちの住み方、働き方、生き方をもっと自由なものにしてもらえればうれしい」(佐別当社長)。1つの地域に固定化するのでなく、さまざまな場所を移動しながらつながっていく「分散型の共同体」をつくっていきたいとも言う。

「ADDress」の基本スキーム。物件オーナーとアドレスがリノベーションを計画し、改修後にアドレスが借り受けて「ADDressの家」として運用する(資料:アドレス)
「ADDress」の基本スキーム。物件オーナーとアドレスがリノベーションを計画し、改修後にアドレスが借り受けて「ADDressの家」として運用する(資料:アドレス)
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