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 一方で、クラウドストレージはハードウエアのストレージに比べるとコストが高くなる傾向がある。ハードウエアのストレージは、家電量販店などで機器を購入する際に導入コストが発生するが、月額費用などのランニングコストは発生しない。これに対してクラウドストレージは、月額や年額いくらという形でランニングコストが発生する。

 例えば2Tバイトの外付けHDDは、おおむね8000円前後といったところだ。一方米ドロップボックス(Dropbox)のクラウドストレージ「Dropbox」で2Tバイトの領域を利用すると年間で税込み1万5840円がかかる(少し割高な月額課金もある)。しかもクラウドストレージは、利用したい期間はずっとサービス料金を払い続けなければならない。機器購入費用が不要であることがマイナスに働くケースもあるのだ。

Dropboxの無料プラン「Dropbox Basic」は、2Gバイトまでの容量しか利用できない
Dropboxの無料プラン「Dropbox Basic」は、2Gバイトまでの容量しか利用できない
(出所:米Dropbox)
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重要で更新頻度が高いファイルに向く

 ファイルをやりとりする速度も違う。PCから直接利用できる外付けHDDやNASは、数百Gバイトのファイルでも気軽にやりとりできる。しかしインターネットを介してアクセスするクラウドサービスで、数百Gバイトのファイルをアップロードしたりダウンロードしたりするには、かなり長い時間がかかる。

 その一方で、ファイルがインターネット上にあることで享受できるメリットもある。インターネットに接続されていれば、どこからでもどんな機器からでもファイルを確認できるのだ。オフィスに設置されているハードウエアのストレージの内容を外出先から閲覧するのは、簡単な作業ではない。

インターネット接続環境があれば、アップロードされたファイルにいつでもアクセスできる
インターネット接続環境があれば、アップロードされたファイルにいつでもアクセスできる
(出所:米マイクロソフト)
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 こうした特性の違いを考えた場合、クラウドストレージは更新頻度が高い現在進行中の業務プロジェクトに関するファイルの管理に向いている。好きな場所からアクセスしてファイルを編集して作業を継続できるのは、インターネット上にファイルをアップロードされているクラウドストレージならではだ。

 一方、業務で使うが参照する機会が少ないファイルは、オフィスのハードウエアストレージに保存しておこう。チェックしたり編集したりする機会がないファイルを、コストの高いクラウドストレージに保存しておくのは、領域の無駄遣いだからだ。

 ファイルの安全性を考えると、すべてクラウドストレージにアップしてしまいたくなる気持ちも分かる。しかし容量が大きくなればなるほどランニングコストが高くなってくるし、アップロードにも時間がかかる。いざ必要になったときに、ダウンロードに時間がかかるのも難点だ。

 本特集で既に紹介したNASのように、ファイルの安全性を高める仕組みを備えるストレージもある。また失うと業務に影響が多いファイルなら二重、三重にバックアップ体制をしっかりと整え、万が一に備えたい。なお、業務の根幹に関わるような重要度が極めて高いファイルであれば、厳選した上でクラウドストレージにアップするのは一つの考え方だ。