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 かつてシングルボードコンピューター(以下SBC)がはやり始めたころは各国からさまざまな製品が生まれ、筆者は趣味で相当な種類のSBC製品をコレクションしていた。残念ながら現在はそのほとんどの製品が市場から消えてしまった。今となれば懐かしい。

 現在SBCの市場はRaspberry Piが独り勝ちの状態といってもよいだろう。シェアが大きくなるにつれ、価格面だけでなく性能面でも先頭を走っている。

 そうした中、現在でもRaspberry Piと差異化を図りながら生き残っているSBC製品が存在するわけだが、今回はそのうちの1つである「ASUS Tinker Board 2」を紹介しよう。 

Tinker Board 2および付属品
Tinker Board 2および付属品
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Tinker Boardの生い立ち

 SBC製品にWi-FiやBluetoothが搭載され始めてから、電波法(技適)の事情により日本国内で利用可能な製品は限定されてしまった。その中で技適を通った数少ない製品として、2017年1月にASUSからTinker Boardが発表された。

 当時、Raspberry Pi 3 Model Bがすでに販売されていたが、CPUクロックは1.4GHz、RAMは1GBだった。一方、後発のTinker BoardはCPUクロックが1.6GHz、RAMは2GBで、よりハイスペックなSBCとして重宝された。

 この初代Tinker Boardは現在でも販売されており、価格は2021年4月時点で税込み9120円だ。筆者の記憶では販売当初から価格は変わらない。Raspberry Piと比べてかなり高価ではあるが、ハイスペックという点でそれなりに需要があったのではないかと思う。

 さらにTinker Boardのメインターゲットは、Raspberry Piのような教育・ホビーというよりは産業向けを意識している。それはストレージの仕様にも表れている。

 ご存じの通り、Raspberry PiはSDカードをストレージとして使うが、産業用として採用しようとしたときに、この点が嫌われるケースがある。一方、Tinker Boardは、16GBのeMMC搭載のモデルも用意されている。値段は税込み1万945円でさらに高価ではあるが、読み書きの速度向上だけでなく、SDカードの接触不良といった心配から解放される点が評価されるのではないだろうか。実際に筆者も仕事で、前述の理由からTinker Boardを採用したこともある。