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 今回はLPWA(Low Power Wide Area)で有名なSigfox、そして、M5Stack用Sigfoxモジュールを紹介しよう。SigfoxはLTEや3GネットワークのようなIPネットワークではない。いったん、Sigfoxクラウドがメッセージを受け取る。そのため、実際に利用する際にはIPネットワークとはセットアップや運用方法が異なる。今回はSigfoxの概要、そして、利用開始までの一連の流れを紹介する。

Sigfoxとは何か

 Sigfoxはフランスのベンチャー企業Sigfox S.A.(S.A.は日本での株式会社に当たる)が開発したグローバルなネットワークだ。他のLPWAの方式は主にローカルネットワークとして活用されることが多い中、Sigfoxは公衆ネットワークサービスとして提供されているのが大きな特徴。そのため、基地局を自前で設置する必要がなく、手軽に利用できる点が大きな売りの一つだろう。

 Sigfoxのサービスエリアは、とりわけ欧州では相当な範囲をカバーしており世界中にエリアを拡大中だ。2020年11月現在、72カ国でサービスが提供されており、日本でも全国をカバーしている。

 各国でのSigfoxサービスの提供はSigfox S.Aではなく、Sigfox Operatorと呼ばれる企業が担う。Sigfox Operatorは国ごとに1社に限定されており、日本では京セラコミュニケーションシステム株式会社(KCCS)がSigfox Operatorだ。

 通信技術について簡単に触れておこう。Sigfoxは低電力消費を徹底していることもあり、我々システム開発者にとっては制約が多い通信技術だ。無線周波数は免許不要のISMバンドである920MHz帯を使う。通信速度は100bpsしかない。さらに、1つのメッセージ(パケット)には12バイトしか使えず、さらに1日に最大で140回しかメッセージを送ることができない。しかし、センサー情報を定期的にクラウドに上げるというようなユースケースであれば、Sigfoxで困ることはないだろう。おもに、センサー情報の収集などに使われることが多い。

M5Stack用Sigfoxモジュールを試す

 当初、Sigfoxを手軽かつ自由に試すには、Sigfox Shield for Arduinoしか選択肢がなかった。筆者もSigfoxサービスが日本で開始されて間もなくArduinoシールドを使って試したことがある。筆者は埼玉県入間市に住んでいるが、茶畑が多いトカイナカといわれるような地域だ。サービス開始後の初期段階でも、すでに利用可能なエリアだった。ただしArduinoはモックを作る上でもハードルが高いことに加え、ケースがないなど実運用では課題も多かった。

 近年、M5Stackと呼ばれるマイコンモジュールが話題になり以前に本コラムでも紹介したが、2020年9月より、日本向けのM5Stack用Sigfoxモジュールの販売が開始された。筆者は発売と同時に購入し、やっと試す機会をつくれたので紹介しよう。

 M5Stack用Sigfoxモジュールは少しだけ自分で組み立てが必要だ。箱から取り出すと写真のような状態だ。

箱から取り出した状態
箱から取り出した状態
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 ご覧の通り、アンテナとその関連部品がバラバラの状態だ。モジュール本体を一度分解して、アンテナを装着する。モジュールの裏には、緑色の基盤が見えるが、これがSigfox通信を担うモジュールだ。

モジュールの裏面
モジュールの裏面
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 同こんの六角レンチで基盤を外して、ケースの内側から端子を出し、外からワッシャー(座金)、スプリングワッシャー(ばね座金)、ナットを入れて固定し、アンテナを装着する。以下の写真は、取り外した基盤を取り付けた状態だ。

アンテナを装着した状態
アンテナを装着した状態
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 最後にM5Stack CoreとSigfoxモジュールを重ね合わせて完成だ。

完成した状態
完成した状態
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