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 東京オリンピックの開会式で注目を集めたのは競技のピクトグラム50個を人が演じるパフォーマンスである。この五輪ピクトグラムのパロディーとして「IT業界のピクトグラム」がTwitterをはじめとするネット上で話題となった。

 そのITピクトグラムの1つに「競技種目:丸投げ」があった。スーツにネクタイとおぼしき人が勢いよくボールを投げ、受け手が「うわぁ!勘弁してくれ」とたじろぐ、といったピクトグラムだ。なかなか皮肉が効いていて当コラムのシンボルマークにしたいくらいだ。この「丸投げ」だけでなく「椅子寝」「炎上リレー」「伝言ゲーム」なども面白く、これらのITピクトグラムを目にされた読者も多かろう。

 ピクトグラムのパフォーマンスは開会式の明るい話題であったが、一方で開会式直前に楽曲担当者と演出担当者が過去に犯罪レベルのいじめや差別的な行為をしていたとして、降板するというスキャンダルも発生した。

 これらの問題が報じられた際に「五輪組織委員会は何をやっているんだ。なぜ、担当者選定時にきちんと調査をしないのか」という激しい批判が起きた。特に楽曲担当者のいじめ問題は過去にも問題視され、インターネットで検索すればすぐに引っかかる情報なのにそんな基本的な「身体検査」もしていないのだろうか。

企画から人選からすべて「丸投げ」

 その根本原因は組織委員会が大手広告代理店に企画から人選からすべてを「丸投げ」していることにある、という痛烈な批判だ。この批判は的を射ているだろう。巨大な利権を持つが、人的には各所からの寄せ集めの組織にとって最も合理的なのは有名な大手企業に委託という名の「丸投げ」をすることだ。「丸投げ」というのは大きく危険なリスクをはらむ行為なのだが、トラブルが露呈しなければ問題視されない。さらに「丸投げしたときは丸投げしていると気がついていない」場合さえある。

 これはITのプロジェクトにおいても同様である。大きなITプロジェクトでエンジニアが同時に何十人以上も働くような場合、大手ベンダーであってもプロパーだけでエンジニアを用意できるわけではない。日本のIT業界のお家芸ともいえる下請けが発生する。特に慢性的なIT人材不足の昨今、1次下請けだけではエンジニアの頭数がそろわず、2次請け、3次請けとなることも珍しくない。

 発注者であるユーザー企業の目が届くのは現実的には元請けベンダーとせいぜい1次下請けのリーダークラスくらいまでだろう。契約書においても「再委託する場合は、事前に再委託を行うことを通知し、再委託先を明示すること」といった文言を入れるが、ここでいう再委託先は1次下請けのことで、その先まで追いかけることはほとんどない。