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 2023年10月のインボイス制度(適格請求書保存方式)開始まで1年を切り、その導入をめぐる動きが活発化してきている。テレビをつければこのところインボイス対応のCMが激増している。

 筆者も顧客や知人から頻繁に相談や質問を受けるようになってきた。相談を受ける際の部門が会社によって異なり、2つのパターンがある。それは、経理部門と情報システム部門どちらの部門が主担当者であるかという違いである。筆者はインボイス対応は基本的に経理部門が主担当であると考えている。インボイス制度は複数の消費税率に対応した仕入税額控除を行うことが目的であり、業務的に最も大きな影響を受けるのが経理部門だからである。

 それがわかっている経理部門であれば、自分たちが主担当者として仕切らなければならないことを理解している。経理部門がメインで準備を進め、既存システムの改修や新たなインボイス対応サービスの導入などシステムに関する問題は情報システム部門に手伝ってもらうというスタンスだ。これが正しいというか、標準的な形であろう。

 しかし、「インボイス対応ってITでしょう。だったらシステム部が仕切ってくれないと困る」と考える経理部門は少なからずある。

 ある中小企業のシステム部門の課長が嘆いていた。「インボイス対応をそろそろ始めましょうと経理課長に何回も話をしたがまったく動いてくれない。人ごとなんですよ。先日も某ベンダーがインボイス対応の提案をしたいと経理課長に申し込みました。経理課長に頼まれ私も同席したのですが、主役のはずの経理課長はほとんどしゃべらずでした」。この会社の経理課長は50歳代の古株とのこと。ベテランなのでなかなか他の社員も意見しづらく、また意見しても特に反論もなくスルーされそうだ。