3大携帯キャリアが2021年3月から提供する月額3000円以下の新料金プランは、いずれもデータ通信を20Gバイトまで使えるプランで料金に大きな差はない。KDDI(au)の「povo(ポヴォ)」とソフトバンクの「LINEMO(ラインモ)」がどちらも月額2480円(税別、以下同じ)で全くの同額、NTTドコモの「ahamo(アハモ)」が月額2700円である。
ほぼ横並びに見える各社の新料金プランだが、大きな違いはないか? 契約に際して注意すべき点はあるか? 3月10日時点で発表済みの情報に基づいて、3大キャリアの新料金プランを比較してみた。
横並びに見えても意外と大きな差がある
まず、3大キャリアの20Gバイトプランの概要を表にまとめた。月額2980円でデータ通信を無制限にしたプランを提供していた楽天モバイルが4月1日にプランを改定し、20Gバイト以下なら1980円、1Gバイト以下なら0円にする。このプラン「Rakuten UN-LIMIT VI」も参考として加えた。
キャリア | NTTドコモ | au(KDDI) | ソフトバンク | (参考)楽天モバイル |
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プラン名 | ahamo | povo | LINEMO | Rakuten UN-LIMIT VI |
提供開始 | 2021年3月26日 | 2021年3月23日 | 2021年3月17日 | 2021年4月1日 |
月額料金 | 2700円 | 2480円 | 2480円 | ~1Gバイト:0円(1回線目のみ)、~3Gバイト:980円、~20Gバイト:1980円、20Gバイト超:2980円 |
高速データ通信可能な容量(月間) | 20Gバイト | 20Gバイト | 20Gバイト | 使用量に応じて月額料金が変わる(楽天モバイルのエリア外では5Gバイト) |
超過後の通信速度 | 最大1Mbps | 最大1Mbps | 最大1Mbps | 最大1Mbps(楽天モバイルのエリア外) |
データ追加購入 | 500円/1Gバイト | 500円/1Gバイト、24時間使い放題で200円 | 500円/1Gバイト | 500円/1Gバイト |
国内通話料 | 5分以内の通話は無料、5分超過後は20円/30秒 | 20円/30秒 | 20円/30秒 | Rakuten Linkを使ったときの通話は無料、それ以外は20円/30秒 |
通話定額(月間) | 通話かけ放題:1000円 | 5分以内かけ放題:500円、通話かけ放題:1500円 | 5分以内かけ放題:500円、通話かけ放題:1500円 | なし |
キャリア決済 | × | ○ | 2021年4月中旬に提供開始予定 | Google Playのみ |
留守番電話サービス | × | × | × | ○(無料) |
海外ローミングのデータ通信(月間) | 82の国・地域で20Gバイトまで | 提供予定 | 別途通信料が必要(新規契約から4カ月間は利用不可) | 66の国・地域で2Gバイトまで |
5G対応 | ○ | 2021年夏に提供開始予定 | ○ | ○ |
eSIM対応 | × | × | ○ | ○ |
申込窓口 | オンラインのみ | オンラインのみ | オンラインのみ | オンライン/実店舗 |
ドコモが2020年末に発表したahamoの月額料金は2980円で、その後ソフトバンクが発表したLINEMO(当時は仮称だった)も同額だった。2021年に入ってauが5分以内の通話無料を500円のオプションにして月額料金2480円に抑えたpovoを発表すると、ソフトバンクも5分以内の通話無料をオプションにして月額料金を2480円にした。今度はドコモが3月1日、プラン内容をそのままに月額料金を2700円に引き下げた。4月1日より税込みの料金表示が義務化されるのに備えて、税込みでも2970円と3000円を切るために引き下げたと考えられる。
データ通信は横並びで月間20Gバイト、超過後の通信速度や1Gバイトごとの追加購入の料金も同じだ。留守番電話サービスがない点、申込窓口がオンラインのみになっている点も違いはない。
国内通話料を見ると、ドコモのahamoが5分以内の通話無料をプランに含んでいるため220円高くなっているが、auのpovoやソフトバンクのLINEMOで同じ条件にするには500円のオプションが必要なため、どちらが割高とはいえない。
ただよく見ていくと、利用者の使い方によっては大きな差になるポイントがある。例えば、auのpovoはデータ通信が超過したとき、24時間使い放題になるオプションを200円で用意している。たまたま20Gバイトで足りなくなった月の1、2日だけ適用するといった使い方ができる。また、ソフトバンクのLINEMOは「LINEギガフリー」を目玉としている。SNSアプリ「LINE」の通話ややりとりのデータ量がカウントされないので、LINEの利用機会が多い人には有利だ。海外で利用する機会が多い人にとっては、ドコモのahamoが海外ローミングを20Gバイトまで無料で使える点は大きい。
注意が必要なのがキャリア決済だ。プラン提供開始当初から対応しているのはauのpovoだけで、ドコモのahamoとソフトバンクのLINEMOは対応しない。ただLINEMOは4月中旬から提供予定になっている。キャリア決済を利用している場合でahamoやLINEMOに変更する際は、事前にほかの決済サービスに変更しないと解約扱いになってしまう可能性がある。
細かい違いに目を向けると、ドコモのahamoとソフトバンクのLINEMOはプラン提供開始当初から5Gに対応するが、auのpovoは夏以降となる。すでに5G対応のスマートフォンを持っている人は夏まで5Gの高速通信の恩恵を受けられなくなる。またLINEMOのみがeSIMに対応。例えば、iPhoneなどのeSIM対応のSIMフリースマホを持っていれば、他の事業者のnanoSIMを挿してLINEMOはeSIMで使うというデュアルSIM利用も可能になる。
このように似たように見える3プランだが、意外と差は大きい。