スマートフォンに物理的なSIMカードを挿さずに、スマホ内部に組み込まれた部品に情報を書き込んで使うeSIMサービスを提供する事業者が増えた。2021年5月10日時点で、4事業者から合計6つの対応プランが提供されている。
iPhone(XR以降)やGoogle Pixel(3a以降)など対応する機種も増え、eSIMを利用しやすくなった。これらの機種は物理SIMと併用することも可能だ。
eSIMを使えばスマホ料金を安くできるのか? eSIMと物理SIMと併用して料金を抑えるお勧めパターンを紹介する。
2021年春にeSIMを提供する事業者が急増
日本で個人向けにeSIMサービスを提供しているのは4事業者。eSIMを提供する唯一のMVNO(仮想移動体通信事業者)であるインターネットイニシアティブ(IIJ)は、2020年3月から提供するデータ専用の「IIJmio(データプラン ゼロ)」と2021年4月から提供を開始した「IIJmio(ギガプラン)」でeSIMに対応する。KDDI(au)とソフトバンクはそれぞれが2021年3月から提供を開始したオンライン専用ブランド「povo(ポヴォ)」と「LINEMO(ラインモ)」でeSIMに対応した。またソフトバンクのもう1つのサブブランドである「Y!mobile(ワイモバイル)」でも2021年3月からeSIMに対応した。楽天モバイルは2020年4月の正式サービス開始当初からeSIMに対応し、eSIM専用のオリジナル端末も用意している。
IIJ以外のMNO(移動体通信事業者)が提供するeSIMの利用料金は、物理SIMを使う場合と同額になっている。eSIMを選んだからといって安くなるわけではない。また機種変更時にSIMの挿し替えだけで済む物理SIMを比べて、eSIMのほうがやや不便だ。eSIMは対応機種でしか使えず、機種変更時に再発行手続きが必要になるからだ。
事業者 | 対応サービス | 利用可能データ量:月額料金(税込み) | 超過後の速度制限 | データ追加料金(税込み) | |
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IIJmio (データプラン ゼロ) | インターネットイニシアティブ | データ | 165円(基本料金)+データ追加料金 (月額料金例) 2GB:990円 5GB:2475円 10GB:4950円 |
超過後は通信不可 | 最初の1GB:330円 2G〜10GB:495円/1GB |
IIJmio(ギガプラン) | インターネットイニシアティブ | データ | 2GB:440円 4GB:660円 8GB:1100円 15GB:1430円 20GB:1650円 |
最大300kbps | 220円/1GB (2021年6月以降提供予定) |
povo | KDDI(au) | 通話・SMS・データ | 20GB:2728円 | 最大1Mbps | 550円/1GB |
LINEMO | ソフトバンク | 通話・SMS・データ | 20GB:2728円 | 最大1Mbps | 550円/1GB |
Y!mobile | ソフトバンク | 通話・SMS・データ | 3GB(シンプルS):2178円 15GB(シンプルM):3278円 25GB(シンプルL):4158円 |
シンプルSは最大300kbps シンプルM・Lは最大1Mbps |
550円/0.5GB |
楽天モバイル | 楽天モバイル | 通話・SMS・データ | 〜1GB:0円(2回線目以降は1078円) 〜3GB:1078円 〜20GB:2178円 20GB超過後〜:3278円 |
最大1Mbps (パートナー回線エリア) |
550円/1GB (パートナー回線エリア) |
IIJmioはデータ通信だけに使えるeSIMを提供。SIMフリーのiPhoneやGoogle Pixelなど、物理SIMとeSIMを併用できる端末で、物理SIMで音声通話、eSIMでデータ通信と使い分けるのが現実的。月額165円で維持できる「データプラン ゼロ」は、メインで使う回線のデータ量が超過した場合に使うサブ回線として使うのが適切だろう。