楽天モバイルが2023年5月12日に新料金プラン「Rakuten最強プラン」を発表した。同年6月1日に導入する。同社が「最強」と呼ぶ理由はどこにあるのか。NTTドコモなど大手キャリア3社の料金プランとも比較しつつ、中身を掘り下げてみよう。
パートナー回線につながっても「データ使い放題」
Rakuten最強プランは、現行プランの「Rakuten UN-LIMIT VII」を改定したものだ。これまでは「Rakuten UN-LIMIT」の名称で、V、VI、VIIと改定を重ねてきたが、初めてプラン名をまるごと変更した。
プラン名をまるごと変更したものの、Rakuten最強プランの内容は現行プランと大きく変わらない。1カ月のデータ使用量が3GBまでは月額1078円(税込み、以下同じ)で、3GB超過後~20GBが同2178円。20GB超過後は同3278円で使い放題となる。現行プランの利用者は、自動的にRakuten最強プランへと切り替わる。
現行プランとの違いは、楽天モバイルが「パートナー回線」と呼ぶ他社回線にローミングで接続した際のデータ使用量の制限がなくなることだ。楽天モバイルは自社回線でカバーできないエリアを補完するため、au回線へのローミング接続を利用している。
現行プランでは、パートナー回線を定額で利用できるのは1カ月当たり5GBまで。超過すると通信速度が最大1Mビット/秒に制限される。高速通信で使い続けたい利用者は、1GB当たり660円でデータ量を追加購入する必要があった。
最強プランはこの「1カ月当たり5GBまで」という制限を撤廃した。楽天回線とパートナー回線の区別なく、定額で無制限で利用できるようになる。
使い放題が他社の半額以下、人口カバー率も「並んだ」とアピール
パートナー回線につながることが多い楽天モバイルの利用者からすれば、パートナー回線でデータ通信を使い過ぎる不安から解放される。高速に使い続けたいときにデータを追加で購入する必要もなくなるだろう。
パートナー回線の制限を外すことは、人口カバー率の改善にもつながる。楽天モバイルによると、楽天回線のデータ無制限エリアの人口カバー率は2023年4月末時点で98.4%。同年6月からはパートナー回線も無制限で使えるため同99.9%になるという。NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクという大手キャリア3社の人口カバー率は99.9%であり、同等になると楽天モバイルはアピールしている。
各社の使い放題プランを比較すると、楽天モバイルは月額3278円と大手3社の半額以下だ。料金は最安である。「データ使い放題が格安」という部分を「最強」とするなら、そう言えるかもしれない。
周波数帯の制約から通信品質は期待しにくい
ただし人口カバー率で並んだからといって、楽天モバイルが大手3社と同等の通信品質を実現するのは期待しにくい。楽天モバイルが4G(第4世代携帯電話)サービス向けに利用している周波数帯は1.7GHz帯(Band 3)のみだ。