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 最近でこそ中国の台頭に隠れがちだが、こと「キャッシュレス」の文脈でいえば北欧はその先端を行くことで知られている。だが実際のところ、そのキャッシュレス先進国でどのような決済手段が用いられ、キャッシュレス決済比率を上げるためにどのような策が講じられ、また実際に現地でどのような形で「支払い」が行われているかを把握している方はそう多くないと筆者は考えている。

 今回は筆者が2018年後半から2019年半ばにかけて、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、アイスランドの北欧5カ国をまわって見てきた決済事情を簡単にまとめてみたい。

コペンハーゲンのニューハウンの街並み
コペンハーゲンのニューハウンの街並み
(写真:鈴木 淳也、以下同じ)
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北欧はどこでもクレジットカードやデビットカード払いが行える

 まず北欧で特筆すべきはクレジットカードとデビットカードの普及率の高さだ。基本的にデビットカードは銀行口座を開設すると自動的に発行されるため、同地域で合法的に住んでいる多くの成人は皆キャッシュレス決済手段を持っているということになる。実際、筆者がまわった5カ国の首都でクレカやデビットが利用できない場所を見つける方が難しかったくらいだ。これは屋台や臨時の露店も含めてのもので、ほとんどの店で利用できると思って問題ない。

 特にデンマークやスウェーデン、ノルウェーをまわった範囲では、スマートフォンに接続してクレカやデビット決済を受け付ける簡易決済端末サービス「iZettle」が普及しており、恐らく取り扱いコストもほとんどかからずカード決済を導入できるようだ。ストックホルムでは書店など一部店舗で「現金お断り」という場所も存在しており、現金が万能ではないという状況にも出くわす。

 ただ、現金が使われていないのかというとそうでもない。街の商店などで支払い手段をしばらく観察していると、北欧5カ国共通で3~4割程度の支払いは現金で行われており、いまだ現金は普通に流通していることがわかる。ストックホルムで青空市に店を持っていたある人物の話によれば、「現金とカードとSwishで1:1:1くらいの比率」だという。

ストックホルムで週末の特定期間のみに開催される青空市
ストックホルムで週末の特定期間のみに開催される青空市
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現金だけでなく、クレジットカード(デビットカード)や「Swish」と呼ばれるモバイル決済での支払いにも対応する店舗
現金だけでなく、クレジットカード(デビットカード)や「Swish」と呼ばれるモバイル決済での支払いにも対応する店舗
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 ここで「Swish」というキーワードが出てきたが、これはスウェーデンで普及しているモバイルアプリを使った決済サービスだ。相手の電話番号を指定することで送金や支払いを行える仕組みであり、認証はSwishを推進する同国内の銀行が発行する「BankID」によって行われる。

 スウェーデンでは電話番号と個人情報がほぼ1対1で結びついており、多くの情報が丸裸だ。送金先に入力した電話番号を通じて相手の素性を確認することも可能で、いわゆるマネーロンダリング(資金洗浄)的な使い方が難しい。Swishを推進する団体によれば「従来のカード決済では難しかった、キャッシュレス推進のための最後の“ピース”」を埋めるためのサービスであり、カードとSwishを併用することで現金なしでの生活が可能になるという。

こちらの店舗は現金のほかはSwishの支払いのみに対応。手書きで番号(電話番号)が書かれている
こちらの店舗は現金のほかはSwishの支払いのみに対応。手書きで番号(電話番号)が書かれている
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Swishで支払いを行っているところ。相手の番号と金額を入力し、BankIDによる認証を経て支払いが完了する
Swishで支払いを行っているところ。相手の番号と金額を入力し、BankIDによる認証を経て支払いが完了する
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