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 100年来という疫病の流行で世界が激変した2020年だったが、2021年もまたその影響下から抜け出すことは難しいというのが大方の予想だ。筆者は例年、1月のこの時期は米ニューヨークで開催される「NRF Retail's Big Show」という全米小売協会(NRF)主催の展示会に参加し、小売業界にまつわる最新トレンドを取材・調査しているが、2021年のNRFは1月が「Chapter One」と題したオンライン開催で、1月20日の大統領就任式を挟んで2週にわたり開催される。そして、6月に開催される「Chapter Two」がリアル展示会の予定になっている。

 ただ、通常であれば展示会に参加している一部企業が出展していない他、プログラム構成も全体として盛り上がりに欠けるなど、1月時点では情報源としての展示会がいまひとつ機能していない印象がある。業界団体としてのNRFが、この状況下において政府に業界救済を訴える以外の明確なメッセージを出せていない点からも分かるように、どこも厳しい状況を暗中模索状態で進んでいる様子がうかがえる。

2020年に開催されたNRF Retail's Big Showの様子
2020年に開催されたNRF Retail's Big Showの様子
(撮影:鈴木 淳也)
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 本稿執筆中に同時並行で開催中のNRF Retail's Big Showを軸に、2020年ホリデーシーズン以降の小売業や周辺業界を中心として、新型コロナウイルスの影響や前年以前との違いを分析中だが、正直まだデータが出そろっていないのが現状だ。一方で、調査会社などから興味深い2021年予測が出ているほか、今年以降のトレンドをリードする技術や規制緩和に向けた動きも出始めており、今回はトレンドと技術面からそれらの最新情報をまとめたい。

「アパレル・化粧品復活」「EC・デリバリー曲がり角」もありうる?

 海外の諸都市では2020年3月時点で早々にロックダウンへ突入した経緯もあり、ショッピングのカーブサイドピックアップやデリバリーサービスが盛り上がるなど、決済と配送の両面でデジタルシフトが進み、従来のリテール店舗の役割が大きく変化した。

 また2020年のホリデーシーズン商戦は人の密集を避けるため、全体に前倒しでのスタートとしつつ、消費者には「極力オンラインストアを利用すること」を周知していた。そのこともあり、リアル店舗では例年のようなにぎわいがなくなる一方で、売り上げそのものは前年同期比でそれほど落ち込んでいない状態となった。

 買い物手段としても、消費者はスマートフォンを使って調べ物や注文をする比率が高くなっており、この「PCからモバイルへ」という変化もまた2020年の特徴だったといえる。

朝夕に自転車通勤客の多く見られるデンマークのコペンハーゲン市内。往年のにぎわいはいつ戻ってくるのか
朝夕に自転車通勤客の多く見られるデンマークのコペンハーゲン市内。往年のにぎわいはいつ戻ってくるのか
(撮影:鈴木 淳也)
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