全5883文字

 1994年に国民同士が争う大虐殺事件が発生した後、混乱の収束から25年以上の時を経て急速に経済成長を続けているアフリカ大陸の小国「ルワンダ」。同国について「資本主義最後のフロンティア」のキャッチで最新事情を2010年に紹介したのはNHKスペシャルの取材班だ。一連の取材内容は後に「アフリカ―資本主義最後のフロンティア―」(新潮新書)として出版されている。

 内陸国であり、国を支えるだけの鉱山資源や農業用地には恵まれず、国民の平均年収は400ドル程度と復興後においてもいまだ裕福とは言い難い状況だ。

 そんなルワンダは現在、教育に重きを置き、人的資源を最大限に有効活用できるICTを使った国興しを模索している。そうした事情に着目し、今後の成長性を鑑みてICT分野での経済交流を進める日本の自治体がある。

 神戸市は2016年にルワンダの首都キガリ市とのパートナーシップ協定を結んだ後、2018年にはルワンダICT省との提携も行い、同分野での交流事業を盛んに行っている。神戸市が主催する「神戸スタートアップアフリカ」はその1つで、参加者は同プログラムを通じてルワンダでの起業を体験できるというものだ。

 筆者は今回、開催2年目となる同ツアーに2020年2月下旬に随行させていただき、現地のICTやスタートアップ事情と共に、「キャッシュレス」に関する最新情報を取材する機会を得た。ルワンダならびに東アフリカ地域の話題を中心に、資本主義最後のフロンティアでの決済事情がどうなっているか、少しだけ紹介したい。

ルワンダの首都キガリ市内で最も眺めがいいスポットの1つといわれるウブムエ・グランド・ホテル(Ubumwe Grande Hotel)のテラスからのパノラマ。写真右下に見える建物が「ホテル・ルワンダ」の舞台となったオテル・デ・ミル・コリン(Hotel des Mille Collines)
ルワンダの首都キガリ市内で最も眺めがいいスポットの1つといわれるウブムエ・グランド・ホテル(Ubumwe Grande Hotel)のテラスからのパノラマ。写真右下に見える建物が「ホテル・ルワンダ」の舞台となったオテル・デ・ミル・コリン(Hotel des Mille Collines)
[画像のクリックで拡大表示]

「アフリカ」というイメージと現実

 筆者は「アフリカ」というキーワードを聞くとなんとなく冒険心を駆り立てられるのだが、ルワンダの首都キガリはそんな冒険心やハラハラする体験とは無縁の普通の小ぎれいな街だ。

 まだまだ裏道など未舗装な悪路はいっぱいあるが、街の要所要所を結ぶ主要道路はすべてきれいに舗装されており、花や街路樹がきれいに植樹されていてゴミ1つ落ちていない(毎月1回国民に奉仕日が設定されており、これらを通じて美化活動が進んでいるという)。この道路はキガリ郊外を含めて国境まできちんと整備されており、アフリカ大陸内でも有数の良好な道路事情となっている。

ギガリの道路はよく整備されている。現地の人たちの主要な移動手段は相乗りバイクで、2人乗りのオフロードバイクが縦横無尽に市内を駆け巡っている
ギガリの道路はよく整備されている。現地の人たちの主要な移動手段は相乗りバイクで、2人乗りのオフロードバイクが縦横無尽に市内を駆け巡っている
[画像のクリックで拡大表示]

 滞在全体を通して現地の人たちにはとても親切にしてもらった。非常に人懐こい国民性だとも筆者は感じた。実際、少し前には凄惨な事件があったとは思えないほどで、キガリはアフリカで最も安全な首都とさえいわれている。