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 米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)の「Amazon Go」が2018年1月に一般デビューして以降、米国と中国を中心に「AI技術を使ってレジなしで会計を済ませられる自動化店舗」の開発が相次ぎ、その一部はすでに商用化され市場で活躍している。日本でもJR東日本スタートアップがサインポストと共同で開発した「TOUCH TO GO(タッチトゥゴー)」のほか、NTTデータが中国のクラウドピック(CloudPick)の技術を利用した実験店舗など、2019年後半から2020年初頭にかけて次々と登場している。東京五輪開催に向けた新技術やサービス導入機運も相まって「2020年は自動化店舗元年」というキャッチフレーズが踊ってもおかしくない状況だった。

コロナ禍以前はにぎわいを見せていた、米ワシントン州シアトルのAmazon Go 1号店
コロナ禍以前はにぎわいを見せていた、米ワシントン州シアトルのAmazon Go 1号店
(撮影:鈴木 淳也)
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 だが実際には、こうしたブームがやってくるのはもう少し先になりそうだ。新型コロナウイルスの世界的な流行以降、各地域で外出禁止令が強化され、不要不急な買い物での外出以外は避けるようになっている。

 スーパーやドラッグストアは引き続き開店しているものの、同時に入店できる人数は厳しく制限され、米国ではソーシャルディスタンスとして6フィート(約1.8メートル)の距離を取ることが求められている。入店やレジの精算を待つ行列など、床には6フィートを示すテープが貼られ、人々は規則正しく待つ日々を送っている。

 本来ならば、スムーズに会計が行える自動化店舗の活躍する可能性もあるのだが、Amazon Goは外出禁止令を受けて早々に当該地域の全店閉店を決め、現在は本社のあるシアトルで数店舗が営業するのみだ。

2020年4月現在の各店舗の営業時間表示。外出制限が厳しいシカゴ、ニューヨーク、サンフランシスコは全店閉店となっている
2020年4月現在の各店舗の営業時間表示。外出制限が厳しいシカゴ、ニューヨーク、サンフランシスコは全店閉店となっている
(出所:米アマゾン・ドット・コム)
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自動化であって無人化ではない

 Amazon Goはもともと軽食主体のコンビニ的位置付けの店舗で、オフィス街など日中の人の出入りが多い場所を想定している。立地や商品ラインアップだけでなく、営業時間も平日の日中時間帯のみというのがそれを物語っている。今のところ自動化店舗の仕組みはコンビニにしか使えず、さらにコンビニであっても設置コストや運用コストを鑑みると、一定の回転率が見込め収益化しやすい立地に限られる。ドラッグストアであれば調剤薬局のコーナーが必要だし、アルコールなどID確認が必要な商品の販売には基本的に人員の設置が求められる。