2021年5月11日、日本におけるApple PayでのVisa(ビザ)対応がついに始まった。これまでは、Apple Payに対応したカード会社発行のクレジットカードまたはデビットカードを持っていたとしても、それがVisaブランドのカードであれば、「iDまたはQUICPay」としてしか利用できなかった。それが今回の解禁により「Visaカード」として利用が可能になった。
具体的には、日本国内で発行されているApple Pay対応のVisaブランドのカードを「Apple Payに登録」することで、iPhone上から「Visaのタッチ決済」「オンライン上でのVisaカードによる決済」「アプリ上でのVisaカードによる決済」の3つが可能になった。また、これまではVisaカードのApple Payへの登録が実質的にできなかったiPadやMacなどのデバイスでも、オンラインまたはアプリ上でのVisa決済が有効になる。
2016年秋に日本でApple Payのサービスが始まってから約4年半、国内で主要な国際カードブランドが出そろい、ようやく完全な形での上陸となった。今回はこのマイルストーンに合わせて、2014年秋の米国でのサービスから約6年半が経過したApple Payについて、世界での現状を紹介する。併せて、Apple Payについて日本のユーザーからよく聞かれる3つの疑問についてまとめたい。
Apple Payは63カ国で稼働中
世界でのApple Payの対応状況について、最新情報は米Apple(アップル)のサポートページに掲載されている。本稿執筆時点(2021年5月23日)の最新版である同年5月5日更新の情報によれば、Apple Payが利用可能なのは63の国や地域。この中には英王室属領のマン島やジャージー島なども含まれるが、アフリカ大陸を除く北半球の多くの国で対応が進んでいると考えて問題ない。逆に南半球はオーストラリア、ニュージーランド、ブラジル、南アフリカの4カ国に限られている。なおここでいう「対応国・地域」は、「各国や地域で発行されているクレジットカードやデビットカードなどがApple Payに登録できる」ことを意味している。Apple Payに登録済みのカードを使った店舗での決済やオンライン決済は、対応国・地域以外の場所でも可能だ。
Apple Payでは、こうした対応国のカード会社が発行するクレジットカードやデビットカードをiPhoneやApple Watchなどの端末に登録しておく。最新モデルでは最大12枚までストック可能だ。支払いのタイミングで使いたいカードを選択する。
決済でやり取りされるのは「トークン」と呼ばれる、プラスチック製のリアルなカードとは異なる決済情報となっており、安全性が高い点も特徴だ。この仕組みは「トークン化(Tokenization)」と呼ばれ、Apple Pay以後のモバイル決済の標準的仕組みになっている。
「即時発行」の仕組みも、実質的にApple Payが他社に先駆けて導入した。ユーザーがApple Payへカードを登録する操作をすると、認証プロセスを経た後に即座に受理され、すぐに使えるようになるものだ。シンプルかつ先端的な試みを取り入れているのがApple Payの特徴といえるだろう。