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 本連載でもたびたび触れている「無人レジ店舗」、英語でいえば「Checkout Free Store」「Automated(Autonomous) Store」などの名称で呼ばれるセンサーやコンピューターによるAI(人工知能)画像解析を使った店舗だが、この先駆けとなった「Amazon Go」について知っている方は多いだろう。日本でいえば高輪ゲートウェイ駅への導入をはじめ、ファミリーマートとの提携で店舗を急速に拡大しつつある「TOUCH TO GO(TTG)」が有名だ。この分野に新たな参入者が登場して、話題になりつつある。

 英国の小売りスーパー最大手のTescoは2021年10月、ロンドンのホルボーン(Holborn)地区に「GetGo」という新業態のミニスーパーを開業した。もともと同店舗はTescoの都市向けミニスーパー業態である「Tesco Express High Holborn」の完全キャッシュレス店舗として2018年にスタートしたものだ。同店舗にイスラエルのテルアビブを本拠にするTrigoの技術を適用して、いわゆるAmazon Go型の無人レジ店舗として再スタートした。TescoがTrigoと共同で展開したGetGoの店舗はTesco Express High Holbornが2例目で、最初の店舗はTesco Expressの本拠地であるウェリン・ガーデン・シティー(Welwyn Garden City)で2019年に展開された。

 今回はこうした欧州での無人レジ店舗事情をフォローしたい。

英ロンドン市内の通常のTesco Express店舗。この店舗は大部分のチェックアウトレーンがセルフレジになっている
英ロンドン市内の通常のTesco Express店舗。この店舗は大部分のチェックアウトレーンがセルフレジになっている
(写真:鈴木 淳也)
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ロンドンで激突する2つの無人レジ店舗

 まずは無人レジ店舗の仕組みの簡単なおさらいをしておこう。Amazon Goではログイン状態にある「Amazon」アプリで2次元コードを表示させ、それを店舗入り口のゲートに読み込ませることで店内への入場が可能になる。後は好きな商品を手に取っていき、そのまま退場ゲートから出ることで自動的に会計が行われる仕組みだ。

 技術的には天井に据え付けられたカメラにより、店内での腕を含めた人の動きを把握し、実際にどの棚の商品が取られたかを重量センサーで判別する。これらの情報を組み合わせることで店内の買い物客の行動を把握し、最終的に取り出された商品を「バーチャルカート」に登録して、入場に用いたアプリのアカウント情報を基に、登録済みのクレジットカードに後ほど請求する仕組みだ。

 ただ、現在米国ではAmazon Goの入場方式に変更が加えられつつあり、アプリよりもむしろ手のひら認証である「Amazon One」が利用される傾向にある。このAmazon Oneがどのように動作するかは、本連載で以前に現地でテストしてリポートしている。

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