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 米Moderna(モデルナ)の新型コロナウイルス感染症ワクチンを利用した職域接種が2021年6月21日から本格的にスタートした。日本国内でのワクチン接種はこれまで高齢者と医療関係者に限定されていたが、この職域接種により、働き盛り世代や若年層向けでも接種の動きが加速しつつある。新型コロナ禍は約1年半にわたって続いているが、ようやく経済活動の復帰を含む先の見通しが立ってきた。

 ここで注目を集めているのが、自身がワクチン接種を終えたことを証明する書類「ワクチンパスポート」だ。2回の接種を済ませて2週間程度経過し、有効な抗体が体内に生成された人は感染リスクや重症化リスクが低い。このことから、新型コロナ禍で制限されていた建物への入場制限や海外渡航・帰国時の隔離をワクチンパスポートの提示により緩和し、経済活動をより活発化させる狙いがある。

 ワクチンパスポートそのものは、ワクチン接種時に渡されるロット番号などが記載された接種証明の延長線上にあるものだ。接種証明と被接種者を特定する情報をひも付け、国や自治体が公的証明書の一種として「この人物はワクチン接種が済んでいます」という“お墨付き”を与える。

 河野太郎ワクチン担当相は6月17日、迅速にワクチンパスポートを提供するために、まず7月中旬にも各自治体が紙による発行を開始し、後にデジタル対応を進めていく方針を示した。デジタル対応とは、スマートフォンの画面などで提示でき、かつそれが国や自治体などのお墨付きを得た「デジタルワクチンパスポート」として機能するというものだ。

 今回はデジタルワクチンパスポートを巡る現状を報告しつつ、そのメリットや今後の動きについてまとめたい。

米国カリフォルニア州サンフランシスコの目抜き通り。同州は6月15日に新型コロナ禍対策の全ての制限を解除し、経済の全面再開を宣言。少しずつ以前のにぎわいを取り戻しつつある
米国カリフォルニア州サンフランシスコの目抜き通り。同州は6月15日に新型コロナ禍対策の全ての制限を解除し、経済の全面再開を宣言。少しずつ以前のにぎわいを取り戻しつつある
(撮影:Stania Zbela)
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